2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18659532
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
早川 航一 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (60403086)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小倉 裕司 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (70301265)
田中 裕 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (90252676)
杉本 壽 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (90127241)
|
Keywords | 医学 / 救急医学 / クラッシュ症候群 |
Research Abstract |
重症クラッシュ症候群患者に多くみられる救出直後の急性循環不全死を防ぐ方法は確立されていない。ラットモデルを用いて救出前からの組み換えヒト可溶性トロンボモジュリン(以下rhsTM)投与および大量輸液の効果を検討することにより、クラッシュ症候群の病態解析および治療の足がかりとした。 ラット両後肢に3.5kgずつ6時間負荷をかけて圧挫し、圧挫開始時から9時間通常輸液を行った群(A)に対して、治療群は以下の3群、rhsTMを含む輸液群(B)、大量輸液群(C)、rhsTM投与と大量輸液の両施行群(D)に分類し、各々圧挫解除1時間前から施行した。各群の72時間生存率、圧挫解除6時間後の末梢血液、凝固系パラメータ、生化学およびサイトカイン濃度を比較した。 72時間生存率はA群10%B群50%C群40%であったが、D群においては90%と著明に改善した。圧挫解除6時間後の抹消血液検査結果から、高カリウム血症は他の3群に比べ、D群での改善が著明となることが判明した。他群と比べてD群で有意にヘモグロビン濃度の改善がみられた。同様の結果がヘマトクリット値においてもみられ、D群では治療により輸液効果が保たれ、血管内脱水が抑制されていると考えられた。腎機能評価として血清クレアチニンおよび血中尿素窒素濃度を測定したが、いずれにおいてもD群で有意差を認め、治療による腎機能障害の軽減がみられた。凝固因子の評価では、血小板数においてA群とB群間に有意差を認めたが、その他の凝固系因子には有意差を認めなかった。さらに、炎症性サイトカインの評価では、輸液量の多少に関係なく、トロンボモジュリンによる炎症性サイトカインIL-6の産生抑制効果を認めた。 本ラットモデルの検討から、クラッシュ症候群モデルに対する救出前からのrhsTM投与と大量輸液の併用療法は有効であることが判明した。
|