2008 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳類の発生過程における頭部中内胚葉の移動から最終分化までを再現できる系の開発
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18659542
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
今井 元 Showa University, 医学部, 講師 (90291343)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
舟橋 久幸 昭和大学, 医学部, 准教授 (20317514)
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Keywords | 全胚培養 / 器官培養 / 神経発生 / 内分泌 / 中内胚葉 |
Research Abstract |
【目的】E9.5ラット胎児の頭部の内胚葉層の正中には、前方中軸中内胚葉と中軸中胚葉が存在する。前方中軸中内胚葉は、脊索前板や前方胚内内胚葉して前脳部の神経板を裏打ちしており、それより後方の中軸中胚葉は、脊索板として中脳から後脳を裏打ちしている。また、昨年度までに、(1)これらの中内胚葉が、ANR・脊索前間葉・頭部間葉・ラトケ嚢・間脳腹側に侵入すること。(2)ラトケ嚢に侵入した下垂体のホルモン産生細胞に分化することを明らかにした。そこで、本年度は、前方中軸中内胚葉の間脳形成における役割を明らかにする事を目的とした。【方法】研究は、(1)E9.5ラット胎児の前方中軸中内胚葉と脊索板を標識(2)前方中軸中内胚葉、あるいは、脊索板を除去.(3)全胚培養1日、及び、3日.(4)間脳腹側で発現する転写因子やそれらが仲介する発生のマスター遺伝子のin situハイブリダイゼーション.の手順で行った。【結果】移動中の脊索前板由来の頭部間葉やANRの抗isl1抗体や抗Foxa2抗体に陽性であり、間脳に入り込んだ後には、抗Lhx3抗体陽性に分化し、その近傍には、抗Nkx2.1抗体陽性細胞も分化していた。前方中軸中内胚を除去した場合、ANRや脊索前間葉や間脳におけるDiI陽性細胞は消失し、それに伴い上記の全ての転写因子の抗体に陽性な細胞、および、発生のマスター遺伝子(Shh,Bmp2,Bmp4,Fgf8)のmRNAの発現も消失し、形態的にはGli2K.O.マウスと同様の形態を示した。一方、脊索板のみを除去した場合は、間脳におけるマスター遺伝子のmRNAの発現は維持された。【結論】前方中軸内胚葉は、間脳腹側の誘導能(isl1, Foxa2)を維持しながらANRや脊索前間葉に侵入し、間脳に侵入後はLhx3やNkx2.1も発現に寄与し、最終的にはマスター遺伝子の発現を誘導/維持する役割を担っていることが明らかになった。
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Research Products
(2 results)