2007 Fiscal Year Annual Research Report
構音障害に対するNasal Speaking Valveを用いた新しい治療法
Project/Area Number |
18659575
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
皆木 省吾 Okayama University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (80190693)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 浩一 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (50346459)
熊倉 勇美 川崎医療福祉大学, 医療技術部, 教授 (60309606)
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Keywords | 発音 / 歯科 / リハビリテーション / 補綴装置 / 鼻咽腔閉鎖不全 |
Research Abstract |
Nasal Speaking Valve(NSV)の音声言語学的特性を明らかにするために、音声データをNSV装着を含む4条件下にて採得し、以下に示す4つの指標で評価を行った。 1)単音節明瞭度検査 麻酔条件下の単音節明瞭度はbaseline条件下に比べて有意に低かった。麻酔時NSV装着条件下では、すべての被験者において麻酔条件下よりも高い値であり、baseline条件下に対する改善率の平均値は90%であった。 2)会話明瞭度検査 麻酔条件下の会話明瞭度はbaseline条件下に比べて有意に低く、麻酔時NSV装着条件下は麻酔条件下に比べて有意に高い値を示していた。これは単音節明瞭度検査の結果と同様であったが、baseline条件下に対する改善率の平均値は51%であり、単音節明瞭度検査の改善率よりも低かった。 3)Nasalance score baseline条件下とbaseline+NSV装着条件下との間を除く全ての条件間で有意差を認めた。 4)F1およびF2 rangeをパラメータとした音響分析(周波数分析) 採得した音声データの周波数分析を行い、フォルマント解析を行った。F1 rangeは、麻酔条件下はbaseline条件下に比べて有意に低い値を示し、麻酔時NSV装着条件下は麻酔条件下に比べ、有意に高い値を示した。またF1 rangeは、baseline条件下と麻酔時NSV装着条件下の間に有意差を認めなかった。F2 rangeは、いずれの条件間にも有意差を認めなかった。 これらの知見から、鼻咽腔閉鎖不全のみによって生じた発話障害に対するNSVの効果の特徴が明らかとなった。このことは、NSVが鼻咽腔閉鎖不全に伴う発話障害に対する治療オプションの一つになる可能性を示した点で重要な研究成果であると考えられる。
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