2007 Fiscal Year Annual Research Report
不死化歯由来細胞株と生体内吸収性材料を用いた歯の再生医療用スキャフォールドの開発
Project/Area Number |
18659588
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
宮本 洋二 The University of Tokushima, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (20200214)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 邦夫 九州大学, 大学院・歯学研究院, 教授 (90202952)
中田 憲 秋田大学, 医学部, 助教 (50400510)
玉谷 哲也 徳島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (30274236)
舘原 誠晃 徳島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (90380089)
茂木 勝美 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (20335805)
|
Keywords | 歯 / 再生医療 / バイオマテリアル / スキャフォールド / 吸収性材料 / セラミックス |
Research Abstract |
平成19年度に実施した研究の主要な3項目の結果を下記に示す。 1)吸収性リン酸カルシウムセラミックスおよびマトリゲルを用いたヌードマウス皮下における歯の再生実験 カーボネイトアパタイト(CO_3・AP)およびアパタイトセメント(AC)によるチャンバーおよびラミニンを主体とした基底膜成分の調整品であるマトリゲルをscaffoldとしてヌードマウスの皮下における歯の再生について検討した。用いた細胞は当科で樹立したエナメル芽細胞を使用し、皮下に移植するとことによって、自ら基質形成期エナメル芽細胞に分化してエナメル器様組織を形成した。移植した細胞株は、エナメル芽細胞のマーカー(アメロジェニン)を発現し、移植後20週でレントゲン不透過像が観察された。さらに移植後40週ではレントゲン不透過性のさらなる亢進がみられた。現在、この物質を組織学的に検討中で、歯の構成成分である可能性が示唆されている。 2)特殊コラーゲン膜を用いたエナメルマトリックス誘導に関する検討 エナメル質を再生するには、上皮-間葉相互作用が必須と考えられる。その上皮-間葉相互作用を再現するため、コラーゲン膜をin vitroにおけるscaffoldに選択した。このコラーゲン膜は特殊なバブル処理で通気孔を変更でき、エナメル芽細胞株と当教室で樹立した不死化象牙芽細胞株の両面培養に最適な通気孔の大きさは15μmであった。現在、このコラーゲン膜に歯の形態を付与することができるか否かを検討中である。 3)マウス象牙芽細胞株の樹立 当科ではマウスエナメル芽細胞株を樹立しているが、間葉系細胞はヒト由来のものしか保持していない。そこで、エナメル芽細胞株の樹立と同じ方法で、マウス象牙芽細胞株を樹立中である。樹立中の細胞が、dentin sialophosphoprotein、 dentin matorix protein I、 Lhx6およびLhx7を発現することを確認できた。現在、継代20代目であるが、β-glycerophosphateとascorbic acid添加によって培養21日頃から石灰化することを確認している。 本研究では従来より再生医療実現のための幹細胞の供給源として期待されてきたES細胞や組織特異的幹細胞に変わる新たな細胞供給源の確保の可能性につき検討することを目的とした。そこで患者自身の身体を構成している最終分化した機能細胞がなお分化の可塑性を有している可能性に着目し、生体内においては本来最終分化した機能細胞を別の機能細胞に再分化させ、各種の臓器・組織の再生に必要な細胞を確保することを試みた。まず、マウスの皮下脂肪組織より脂肪細胞を分離し、通常単層培養において真に成熟した脂肪細胞であることを確認した。この細胞を骨芽細胞分化条件下で培養することにより、これらの細胞が骨芽細胞の形質を有していることを確認し、脂肪細胞の骨芽細胞への再分化が可能であることを確認した。さらに骨組織より骨芽細胞を分離し、通常単層培養にてこの細胞が真に骨芽細胞であることを確認し、ついで神経分化誘導因子を含む培養条件下で培養を行うと、神経細胞の特徴である細胞突起の形成・伸長を形態学的に認め、さらに神経分化マーカーおよび神経細胞特異的蛋白質発現を確認し得、骨芽細胞が神経細胞への再分化能を有する可能性が確認された。さらにこれらの再分化過程を予め脱メチル化剤である5-azacitidineにて処理することにより分化転換が時間的に促進されることを確認した。またこれらの細胞にGFPをトランスフェクションし、安定発現クローンを得た。これらを先に示した培養方法によりそれぞれ骨芽細胞、神経細胞へと分化させた後、免疫不全マウスの脳内および骨欠損部へ移植し、移植後にこれら細胞の局在分布につきGFPをマーカーとして蛍光顕微鏡を用いて組織学的に観察したところ、移植部位にGFPを発現する細胞が観察され、これらの細胞、および方法が再生医療実現につながる可能性が示唆された。今後もこれらの細胞を用いて再生医療実現の可能性に付き検討を進める予定である。
|
Research Products
(1 results)