2006 Fiscal Year Annual Research Report
短潜時体性感覚誘発電位(SSEP)を用いた神経麻痺の客観的診断法の開発
Project/Area Number |
18659594
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
海野 雅浩 東京医科歯科大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 教授 (90014125)
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Keywords | 短潜時体性感覚誘発電位 / 三叉神経領域 / 炭酸ガスレーザー / Aδ線維 |
Research Abstract |
末梢感覚神経を刺激すると、頭皮上より体性感覚誘発電位(somatosensory evoked potential : SEP)が記録される。このうち、潜時10〜50msecに記録される短潜時体性感覚誘発電位(short somatosensory evoked potential : SSEP)は、感覚線維を介した一次中継核の電位と考えられている。 三叉神経支配領域において、今までSSEPを記録した研究は少ない。そこでわれわれはオトガイの皮膚にCO_2レーザーを照射してSSEPを記録し、その潜時・振幅を解析することによって、三叉神経支配領域における感覚伝導経路を推定した。 実験は、東京医科歯科大学歯学部倫理委員会の承認、および被験者の同意を得たのち、神経学的に異常を認めない健康成人被験者を対象とした。 Aδ線維刺激によるSSEPの記録と特定のため、左右オトガイ部の皮膚(オトガイ神経支配領域、直径1cm)に、Aδ線維のみが選択的に刺激される刺激強度約18mmJ/mm^2のCO_2レーザー刺激を与えた。刺激間隔は3secとした。SSEP記録の導出部位は、国際脳波10-20法のCz、刺激加算回数は20回とし、潜時0〜100msecを記録した。 CO_2レーザー照射により、SSEPの潜時10〜50msec付近に陰性一陽性の電位が認められ、波形、電位に左右差はなかった。 今回用いたCO_2レーザー刺激は、Aδ線維を選択的に刺激する強度であり、現れた10〜50msec付近の電位は、三叉神経知覚伝導路の1次中継核である三叉神経脊髄路核の電位であると考えられた。この電位を記録することにより、三叉神経支配領域における麻痺・伝導障害・アロディニアなどの客観的・定量的診断に活用できると思われる。
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