2006 Fiscal Year Annual Research Report
唾液のタンパク質プロファイルによる新規口腔癌腫瘍マーカーの同定
Project/Area Number |
18659601
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
新谷 悟 昭和大学, 歯学部, 教授 (80294429)
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Keywords | 口腔癌 / 唾液 / 蛋白質プロファイル / Protein Chip / 腫瘍マーカー |
Research Abstract |
口腔癌の集団検診や、早期診断あるいは治療後の再発の唾液を用いたスクリーニングのために、担癌患者と非担癌患者の唾液を網羅的に蛋白発現解析し、新規癌関連因子、腫瘍マーカーの候補を探索した。 対象は昭和大学歯学部口腔外科において加療した口腔扁平上皮癌患者16症例であり、各症例の担癌状態である治療前と非担癌状態と考えられる治療後の唾液を採取した。唾液は遠心後、上清をProtein Chip System(Ciphargen Biosystems)により、蛋白質プロファイル解析を行った。その解析結果において、治療前後における蛋白発現を比較検討し、有意差をもって発現が変化しているピークを検索した。 その結果、Paired-U検定により有意差をもって変化する26種類のピークを同定した。このうち、治療前より治療後に出現が減少する17種類で、逆に発現が増加する9種類の蛋白質が、検出できた。これらの蛋白のうち3種類の蛋白質では、全く独立した2回の実験で再現性を持って検出された。また、これらのマーカー候補の組み合わせによる階層的クラスタリング解析により、いくつかの条件で治療前・後のパターンが分かれる傾向も認められた。 唾液を用いたProtein Chip Systemによる網羅的蛋白解析によっていくらかの新規腫瘍マーカー候補と思われるピークが同定された。これらの発現ピークの蛋白に関して現在、同定しているところである。この蛋白の機能解析に関しては、次年度行う予定である。また、階層的クラスタリング解析にて、担癌状態と非担癌状態を分けることが可能であったことより、有効な複数のマーカーを組み合わることで、簡便な口腔領域の扁平上皮癌の診断アッセイシステムを確立させていく予定である。
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