2006 Fiscal Year Annual Research Report
RNA干渉による抗コックサッキーウイルス作用の検討
Project/Area Number |
18659616
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
藤原 卓 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 教授 (00228975)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 康成 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (70332848)
星野 倫範 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (00359960)
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Keywords | 小児歯科 / RNAi / コックサッキーウイルス / ペプチド核酸(PNA) / アンチセンス効果 |
Research Abstract |
コックサッキーウイルスは、小児において「ヘルパンギーナ」や「手足口病」の原因となるウイルスで、発熱や咳、下痢などの全身症状の他に、咽頭痛、口首部と咽頭における小水庖・小潰瘍の形成といった口腔症状もあることから、小児歯科領域においても遭遇する可能性の高い疾患である。その治療法は、抗ウイルス剤の投与が一般的であるが、対症療法にすぎず、特効薬が存在しないのが現状であり、効果的な治療法を開発することが望まれている。 その一方で近年、アンチセンス効果に基づくRNA干渉(RNAi)により、特異的なmRNAの発現をノックアウトあるいはノックダウンする手法が開発された。この機構は、ゲノム自身をウイルスや転写因子から保護したり欠陥mRNAを除去したりする太古の"免疫系"として機能するということも言われている。そこでコックサッキーウイルスに対して特異的に作用するような相補鎖mRNAを用いてRNAiを行えば、このウイルスが除去される可能性がある。まず、合成RNAを設計し、これを細胞に投与して取り込ませるための条件設定を模索したが、RNA自体が分解しやすいこと、遺伝子導入に使用されるリポフェクトアミンなどの試薬は細胞障害性が高いことなどから、臨床応用は困難であることが予想された。 そこで、次に同様にアンチセンス効果が得られるペプチド核酸(PNA)を改めて採用することにした。PNAは、完全に人工の物質であるのでRNAのような分解は起こらない。PNAの塩基配列の設計には、従来のRNAiの設計にしたがったものの他に、ウイルスの複製に関与するVPg結合領域を標的にしたものも採用した。また、PNAの細胞への導入には、HIV由来のCell Penetrating Peptide(CPP)の一つであるTATモチーフなどを付加することによりRNAの場合よりも細胞内への導入が容易となる。これらことから、PNAを用いれば、RNAiにおける問題点が解消されることが示唆された。現在、CPP-PNA結合体を作製中であり、今後これらを用いてウイルスの増殖抑制効果があるかどうかを検討する予定である。
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