2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18659616
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
藤原 卓 Nagasaki University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00228975)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星野 倫範 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (00359960)
佐々木 康成 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (70332848)
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Keywords | コックサッキーウイルス / アンチセンス法 / PNA |
Research Abstract |
コックサッキーウイルスは、小児において「ヘルパンギーナ」や「手足口病」の原因となるウイルスで、咽頭痛、口蓋部と咽頭における小水庖・小潰瘍の形成といった口腔症状もあることから、小児歯科領域においても遭遇する可能性の高い疾患である。その治療法は、抗ウイルス剤の投与が一般的であるが、対症療法にすぎず、特効薬は存在しない。そこで我々はRNA干渉によるウイルス抑制を試みてきた。さらに今年度はアンチセンス法に基づいたペプチド核酸(PNA)によるウイルスの増殖抑制実験を行った。RNAiではなく、PNAを利用する利点としては、(i)PNA/DNA、PNA/RNA間の結合力は、DNA/DNA、DNA/RNA、RNA/RNA間の結合力よりも強い、(ii)PNAは天然に存在しない完全人工物質であるため、分解酵素などが存在しないということである。したがって、設計したアンチセンスPNAに抗ウイルス作用が観察されれば、RNAiよりも効果、投与法、保存法において優れた方法と考えられる。PNAの標的遺伝子は、(1)通常のRNAiで標的とされる領域、(2)VPg結合領域を選択し、これらの領域からセンス鎖、アンチセンス鎖の18塩基が抽出し、設計した。また、PNAの細胞内への取り込みは、cell penetrating peptideを修飾すると効率的であることが報告されており、この中でも最も効率が高いことが予想されるTat配列(GRKKRRQRRRPPQ-)を本研究では採用した。また、このペプチドとPNAの間には立体構造を維持するためにリンカー配列を2個付与した。上記の設計により作成されたアンチセンスPNAをコックサッキーウイルス感染細胞に投与し、プラークアッセーにより、抗ウイルス増殖作用を検討した。その結果、RNAi標的領域ではセンス鎖、アンチセンス鎖ともにほとんどウイルスの増殖が認められなかったが、VPg結合領域のアンチセンス鎖では若干のウイルス増殖抑制効果が認められた。今後は投与条件をさらに検討するとともに、RNAポリメラーゼのコード領域等も含め設計し、単独あるいは組み合わせによるウイルス増殖抑制効果も検討する予定である。
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