2006 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子の発現による未分化間葉系幹細胞の骨芽細胞への分化
Project/Area Number |
18659625
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小方 頼昌 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (90204065)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中尾 寿美 日本大学, 松戸歯学部, 助手 (20102577)
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Keywords | 転写因子 / 骨芽細胞 / 石灰化 / フラボノイド / ケルセチン / 骨シアロタンパク質 / 転写調節 / 遺伝子プロモーター |
Research Abstract |
骨シアロタンパク質(BSP)は,リン酸化および硫酸化を受けた糖タンパク質で,石灰化初期に石灰化組織特異的に発現する非コラーゲン性タンパク質である。本研究では,フラボノイドの一種であるケルセチンおよびケルセチン抱合体(Quercetin 3-Glucuronide)によるBSPの転写調節機構について解析を行った。骨芽細胞様細胞であるROS17/2.8細胞を,ケルセチン(0.05,0.5,5,50μM)にて12時間刺激すると,BSPのmRNA量は5μMのケルセチン刺激時に最も上昇した。5μMのケルセチンおよびケルセチン抱合体でROS17/2.8細胞を経時的(3,6,12,24時間)に刺激すると,BSPmRNA量は12時間後に最も上昇した。ルシフェラーゼアッセイの結果,ケルセチンおよびケルセチン抱合体(5μM,12時間)は,-116塩基対上流までのBSPプロモーター配列を含むコンストラクト(pLUC3)の転写活性を上昇させた。BSPプロモーターの-116塩基対上流までに存在する転写因子結合配列にミューテーションを挿入し,ルシフェラーゼアッセイを行った結果,逆方向のCCAATとFRE配列のミューテーションでケルセチンによる転写活性の上昇が抑制された。同配列のオリゴヌクレオチドを用いたゲルシフトアッセイの結果,CCAAT配列への核内タンパク質の結合はケルセチン刺激後に変化しなかったが,FREへの核内タンパク質の結合はケルセチン刺激12時間後に増加した。以上の結果から,ケルセチンは,CCAATおよびFRE配列を介してBSPの転写を調節していると考えられた。今後,未分化間葉系幹細胞に対するケルセチンの効果,およびケルセチン刺激により発現が変化する転写因子に関して検索を行う予定である。
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