Research Abstract |
もともとの計画は,(1)10〜18才の子どもと(2)その両親,(3)主治医か看護師,(4)担任,(5)養護学校の担任という5人を1組としたインタビューであったが,データの収集をはじめてすぐ,これまでに報告があまりにも少ない院内教育の実態を把握して,検討することを優先すべきであると判断したことは,1年目に報告した.2年目の昨年度は,それに沿って,主に院内教育の担当者と,それをサポートする立場にある医療者(医師,看護師),子どもの両親,そして子ども自身へのインタビューをおこない,子どもたちの入院中の教育の実態と課題を把握しようとした.最終年もこのインタビューを続けていきたいと考えている. これまでの分析を通して,「トータルケア」という言葉が小児がん医療の中に定着しているものの,実際には言葉だけが一人歩きし,子どもに関わる医療情報でさえも医師,看護師だけが共有し,他の医療者や,院内教育の担当者とは共有していないという実態が明らかになった. 慢性疾最終年に当たるH20度は,さらにデータを収集し,小児がんの子どもの入院中の教育を担当する院内学級の担当教員の働きかけと,医療者(医師,看護師),両親との連携の状況を把握し,子どもにとってのよりよい闘病環境をつくるために医療者になにができるのか,病院から学校への移行をスムーズにするために医療者にはなにが求められているのかを把握し,医療者と教育間でなにを整備すべきかというサポートシステムの案を検討し,報告書を提出したいと考えている.
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