2008 Fiscal Year Annual Research Report
暴力を受けた女性のメンタルヘルスと看護にむけたフェミニスト・アクションリサーチ
Project/Area Number |
18659670
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
立岡 弓子 Nagoya University, 医学部, 准教授 (70305499)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 真理 北里大学, 看護学部, 教授 (20216758)
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Keywords | 女性 / 暴力 / フェミニスト / アクションリサーチ |
Research Abstract |
<目的>女性への暴力・性暴力に対するフェミニスト・アプローチの看護ケアの有用性に関する成果を看護師のエンパワーメントから評価する. <方法>1.医療機関を受診する暴力・性暴力被害女性の実態調査 2.女性への暴力に対する一般女性・看護師が抱く感情尺度の作成 3.暴力被害を受けた女性との理解を共有し、協働をとおしてフェミニスト・アプローチを実践する 4.フェミニスト・アプローチにより生み出された女性のエンパワーメントへの影響を評価する. <結論>女性外来、救急外来を有する総合病院に勤務する看護職の約56%が、暴力・性暴力被害を受けた女性への看護ケアを経験しており、警察や女性センターなどが把握している暴力被害は、氷山の一角にすぎず、看護師がDV被害を受けた女性の第一発見者になる重要な存在であることが示された.また、看護職の約8.1%が、臨床現場での暴力・性暴力被害を受けた女性への看護について、教育の機会を得た経験があるのみであり、暴力への看護について充分な教育を受けた看護師が非常に少ないことが課題として挙げられた.担当診療科での看護体験を通して、暴力・性暴力被害を受けた女性に対して、看護師が抱く感情には、「恐怖感」「悲哀感」「強圧感」の3因子が抽出され、スティグマの意識としては、「暴力の現実への困惑とジレンマ」「看護の限界」「女性としての衝撃」の3因子が抽出された.暴力被害女性への看護のエンパワーメントを高めるためには、フェミニスト・アプローチによる語りをとおして、暴力・性暴力被害を受けた女性へ抱く感情とスティグマの意識から脱却すること、「看護師の暴力への理解と行動」「看護介入にむけた課題」「看護実践での意欲」という役割意識をもつことの有用性が示唆された.今後は看護教育システムと医療機関でのヘルスケア支援システムの構築が急務であるといえる.
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