2006 Fiscal Year Annual Research Report
中高年女性うつ病患者の退院後の家族支援に関する実証研究
Project/Area Number |
18659675
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
齋 二美子 東北大学, 医学部, 助教授 (00375172)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 秀光 東北大学, 医学部, 教授 (40215554)
光永 憲香 東北大学, 医学部, 助手 (30431597)
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Keywords | 中高年女性 / うつ病 / 退院後 / 家族支援 |
Research Abstract |
平成18年度は中高年女性うつ病患者の退院後の家族支援に関する基礎研究を行なつた。9名の中高年女性うつ病患者の退院後の過ごし方、特に家事の仕方と困難、3名の夫には退院後の患者に対する期待と現実について半構成的なインタビューをもとに分析した結果、以下のことが分かった。(1)ライフステージにおける発症の要因は、仕事上の昇格、姑との同居や夫婦関係の破綻、離職による経済的破綻、夫の単身赴任や子供の自立に伴う役割喪失、義父母や実父母の介護や死などのライフイベントであった。そこには過剰な「他者配慮性」や「役割的自己」を巡る役割葛藤iが見られた。(2)患者の家事の仕方では、【洗濯】、【掃除】、【買い物】、【食事の仕度】の実態が明らかにされ、やれないと語った家事の中でも大きな位置を占めているのは、【夕食の支度】と【買い物】であった。夕食の支度や買い物は複雑な思考や判断、意欲や行動力を要する家事であった。患者は退院後の生活の中でやれない家事があることにより、主婦なのに家事を主体的にやれないことや手伝って貰うことにも卑屈になるという葛藤する困難を抱いており、ものの見方や考え方を柔軟にして気分を楽にしていくことが示唆された。(4)夫は<具体的な家事をやって欲しい>、<何とか無理せずに生活できれば良い>、<認知が変わって欲しい>と期待していた。現実には、<言動のちぐはぐさに戸惑う>、<助け方を工夫する>という支え方をおり、うつ病の症状の分かりにくさが患者を理解しにくくしていることが示唆された。 以上から、看護師は患者には退院後も思考障害が残り、家事能力が低下するととや認知の歪みに気づいてもらい、バランスの取れたものの見方、考え方をして気分を楽にして生活できるように援助すること、生活の仕方から精神状態を見極めて症状自己管理ができるように援助することが示唆された。また、看護師は家族に対して、患者は退院後も思考障害が残り、家事能力の低下や認知の歪みがあることを理解してもらい、家族も支えられる存在として、心理教育により患者との間に生じる感情の表出を適切に行ない、対処行動を獲得できるようエンパワーメントしていくことが示唆された。
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