2006 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の睡眠覚醒障害に対するナラティブ・ケアの生理学的な意義と看護介入の効果
Project/Area Number |
18659677
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
松田 ひとみ 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 教授 (80173847)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増田 元香 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 講師 (60284642)
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Keywords | 高齢者 / 睡眠覚醒障害 / ナラティブ・ケア / 介護介入 / 生理学的効果 |
Research Abstract |
今年度は、高齢者の睡眠覚醒障害の実態について、特に、活動的な高齢者(男性19人、女性25人)を対象として聞取り調査を行った。次いで,高齢者の身体状態と睡眠と運動との関連性を評価した。これらは、研究開始前に、筑波大学研究倫理審査委員会の承認および対象者本人と家族、そして施設管理者に説明を行い同意を得て実施した。睡眠に関する項目については、主観的な睡眠の質評価として、山本らが開発したOSA-MA版(以下、OSA-MA)を用いて3日間連続の調査を行った。OSA-MAは5つの因子で構成されている。第I因子「起床時の眠気」、第II因子「入眠と睡眠維持」、第III因子「夢見」、第IV因子「疲労回復」、第V因子「睡眠時間」である。また、運動量と日常生活行動については、睡眠生活日誌、運動時間と運動内容の記録をデータ化した。会話交流と睡眠時間との関連性についても検討した。 活動的な高齢者の主観的睡眠感については、OSA-MAの結果から、第V因子「睡眠時間」の得点が低く、第III因子「夢見」の得点は高かった。因子得点の平均値以上のものを高群、平均値未満を低群として分類し比較したが、日常的に運動を行い活動的な高齢者は、必ずしも主観的睡眠感が高くなかった。また、主観的睡眠感と運動量、活動時間との相関をみると、有意な相関を示したのは、午後の運動量であり、「入眠と睡眠維持因子」、「疲労回復因子」、総得点との間に正の相関が認められた。睡眠時間については、平均年齢71.3歳で夜間の睡眠持続時間が6.8時間であり、70歳以上の日本人の平均睡眠時間8時間と比較すると短い。これは主観的睡眠感の低さと関連している可能性が示唆された。さらに、日常的な会話交流と睡眠の関係については、性差等の条件を加味して検討したが有意差が見られなかった。今後は対象者数を増やして検討する必要性がある。 主観的睡眠感と午後の運動量に相関関係が認められ、午後の運動が主観的な睡眠の質を高め、疲労回復、入眠および睡眠維持に影響すると考えられた。また、過度な運動と睡眠の質を低下させる可能性があることから、運動量の適正化を図る必要がある。
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Research Products
(1 results)