2006 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者介護予防対策の国際比較〜高齢者の活力ある生活に向けて〜
Project/Area Number |
18659689
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Research Institution | Aichi Prefectural College of Nursing & Health |
Principal Investigator |
松岡 広子 愛知県立看護大学, 看護学部, 講師 (60249274)
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Keywords | 高齢者 / 介護予防 / 国際比較 / メキシコ / 生きがい / 公的支援 / INAPAM / DIF |
Research Abstract |
本研究の目的は、高齢者に対する介護予防サービスのわが国とメキシコとの比較を通じて、その実施における課題を明らかにすることである。国際比較が示す相違点は、わが国の介護予防対策における改善可能な問題を指摘するであろう。メキシコは人口の急速な高齢化を目前にしており、国立高齢者機構(INAPAM)を設立して、介護予防や生きがい対策に当たる公的サービスを強化しつつある。初年度においては現地調査を実施して、INAPAMが行なう介護予防サービスの展開状況を把握した。 INAPAMは経済、社会参加、医療、司法といった側面で総合的に高齢者を支援する公的組織であるが、なかでも首都にあるその文化センターは、高齢者の社会参加を促進して、健康寿命をできるだけ伸ばし、自国の年金・医療制度の不備を補うという重要な役割を担う施設である。そこでは運動、作業、芸術、教養などの様々な分野の多様な講座が高齢者向けに開設されている。受講料は低く抑えられて、受講期間に制限もない。また、講師は老年学の研修を受けている。利用者である高齢者に聞き取ったところによると、同センターは高齢者が生涯にわたって連日通うことのできる高齢者同士の快適な共生の場であった。講座への主な参加動機は活動的であり続けたいという想いであり、参加により得られたことは活力のある生活、心身の健康、知識、自分に対する自信、同年代の人々との共生や友情などであった。 他方、地方都市コスメル(キンターナロー州)でも、INAPAM文化センターに準ずるサービスを提供する高齢者クラブがあり、INAPAMのプログラムに基づいて、同市の家族総合開発機構(DIF)がその運営を行なっている。首都と比べて講座数は少ないが、昨年より大規模な新施設でのサービスが開始されていた。同州は国内では人口の高齢化率が比較的低い地域であるが、高齢者に対するサービスの需要は全国的に高まっている。
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