2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18680004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
増原 英彦 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (40280937)
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Keywords | アスペクト指向 / テストプログラム / アスペクト干渉 / 型安全性 / 最適化 / 横断的関心事 |
Research Abstract |
本研究課題は、アスペクト指向プログラミング(AOP)に対して新しい理論モデルと実現方式を与え、それに基いた次世代のAOP言語を作成することを目的としている。年度当初の計画のうち、以下の2点を中心に研究を進めた。 まず、現在のAOP言語の型システムにおいて織り込みを制限している型規則を見直し、型安全性を保ちつつ限を緩和したような言語を提案し、処理系を作成した。これによって、AOP言語をプログラムの更新などの目的に用いる機会を拡大し、実用性のより高いものとすることが期待される。 純関数型言語Haskellに対するAOP機構の設計を行い、副作用をアスペクトとして記述するための基本的なプログラム変換手法と、アスペクトの適用範囲を指定する方法についての具体的な問題点の検討を行った。今後、実際の言語処理系の作成を通して、関数型プログラムのモジュール性を高められることを実証してゆく。 また、年度当初の計画を一部変更して研究を進めた、以下のような成果を得ている。 アスペクト指向言語がモジュール化の対象とする「横断的関心事」の性質について、Parnasや代表者の過去の研究をもとに考察を進め、モジュール境界の抽象化という観点から新たな定義を提案した。予備的な提案ではあるが、これまでの言語機構による定義と比べ、より本質的な定義を与えられるものとして、今後の展開に期待が持てる成果となっている。 これまでに開発したAOP言語のコンパイラSCoPEを、プログラムの最適化に用いる方式を提案し、予備的な実験を行った。これまで言語処理系の拡張によってのみ可能だった最適化を、利用者プログラムのみで実現できる画期的なものであり、今後の実用性の評価を通じてその有効性を検証してゆきたい。
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