2007 Fiscal Year Annual Research Report
画像群の周波数領域上での構造化に基づく多次元映像メディア技術の研究
Project/Area Number |
18680019
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Research Institution | National Institute of Informatics |
Principal Investigator |
児玉 和也 National Institute of Informatics, コンテンツ科学研究系, 准教授 (80321579)
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Keywords | 映像メディア / 画像処理 / 3次元画像 / 映像生成 / 焦点 / 周波数解析 / 任意視点 / 自由視点 |
Research Abstract |
本年度は主として、焦点ぼけ構造を有する多次元映像情報と他の様々な多次元映像表現形式との相互変換やこれに基づく多様な映像生成手法を詳細に検討した。本研究の対象である焦点ぼけ構造を有する多次元映像情報は、レンズ面を通過した光線群について極めて密な情報を有している。実際、高次元の周波数領域から適当な部分空間を取り出すだけで、レンズ上のある一点を通過した光線群のみの情報を構成できる。そこでこれに基づき、多眼画像群や光線空間情報など他の多次元映像表現形式との相互変換技術を確立した。多次元映像情報の視覚化処理において、本研究で提案するもののうち最も基本的な処理である周波数領域上からの映像生成手法のみでも視点や焦点ぼけを自由に変更することは可能だが、直接に視線方向を変更することは難しい。そこで、上述の変換を用いて本映像情報から光線空間が再構成できることに注目し、本手法と光線空間法の理論的な統合を行い、視点も視線方向も自在に変更可能な視覚化を実現する映像生成手法を検討した。これにより、焦点ぼけ構造を持つ多次元映像情報から生成可能な画像を、例えばレンズ面を通過した全光線群等で原理的に視覚化可能な範囲全てに拡張できた。従来の多眼画像などをベースにした多次元映像メディア技術では、一般に撮像装置の配置間隔の物理的な制約などから、ある程度以上は密な映像情報を取得できないため、自由に視点を移動させるにはなんらかの補間処理が必要であった。光線ベース手法において、密な光線空間情報そのものが取得できないのも本質的には同じ理由である。以上に対し、様々な多次元映像情報の表現形式間の変換により、本研究が提案する焦点ぼけ構造に基づく表現形式がその品質や機能性において極めて汎用的なものであり、他の表現形式の抱える課題を解決するだけでなく、それらにとって十分な品質の映像情報を提供する基盤になりうることを示した。
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