2006 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトの心理生理反応の定量的計測による聴覚の動的処理機能解明
Project/Area Number |
18680025
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
添田 喜治 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, 人間福祉医工学研究部門, 研究員 (10415698)
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Keywords | 聴覚 / ラウドネス / 自己相関関数 / 両耳間時間差 / 両耳間相関度 / 臨界帯域 |
Research Abstract |
本研究の目的は,ヒトの情報処理メカニズムを解明し,ヒトの心理・生理反応に立脚した環境評価方法を確立することである.今年度は以下の三点に関して検討を行った. 1.帯域雑音・複合音の知覚と臨界帯域に関連する聴覚誘発脳磁界反応 音を特徴づける基本的要素である周波数と帯域幅を変化させたときの心理反応(ラウドネス)と生理反応(脳磁界反応)の解析を行った.その結果,2000Hz前後でラウドネスの知覚メカニズムが異なる可能性を見いだした.また,二つの純音ならびに三つの純音から構成される複合音を用いて,構成音の周波数間隔を変化させた時の聴覚誘発脳磁界反応を解析した.その結果,脳磁界活動強度に臨界帯域幅に対応する反応が見られることを明らかにした. 2.両耳間時間差に関連する聴覚誘発脳磁界反応 音の位置の知覚に関わる周波数,両耳間時間差,両耳間相関度を変化させたときの生理反応(脳磁界反応)の解析を行った.その結果,純音の周波数が1500Hz以下,両耳間相関度が高いとき,すなわち,音源の位置が明瞭に知覚されるときに,両耳間時間差の増大に伴い脳磁界活動強度が増加する傾向が見られた.これは,音源の定位能が聴覚野の活動に反映されたことを示している. 3.音の周期成分に関わるラウドネス(心理的な音の大きさ) 刺激音に繰り返しリプル雑音(IRN)を用いて,刺激の自己相関関数の有効継続時間がラウドネスに与える影響を調べることを目的とした.実験の結果,有効継続時間が長くなるにつれて,特に約7msから60msの間でラウドネス尺度値が上昇する傾向が見られた.
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Research Products
(6 results)