2006 Fiscal Year Annual Research Report
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18680026
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
杉浦 元亮 生理学研究所, 大脳皮質機能研究系, 准教授 (60396546)
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Keywords | 脳機能イメージング / fMRI / 脳機能マッピング / 自伝的記憶 / 人物認知 / 顔認知 / 情動記憶 / 長期記憶 |
Research Abstract |
本研究では、我々が日常的に経験した「出来事」を様々な記憶要素の連合と考え、その脳メカニズムの解明を目指す。本年度は「場所」「人物」「物体」の3種類の記憶要素の脳内表象と、これらが情動体験と連合するメカニズムを研究対象とした。当初の計画では3種類の記憶要素について、既知刺激と未知刺激に対する反応が異なる脳領域と、関連する情動体験量と脳反応量が相関する領域を一つの実験で明らかにする予定であったが、本研究及び関連研究の成果に基づき、3つの独立した実験として遂行した。 1.本研究のプロトタイプとして進めてきた「人物」と「物体」と情動価値(危険)の統合メカニズムの研究が完了し、それぞれの要素の情動価値が並列処理され「状況」として統合される脳ネットワークが明らかとなった(国際学会発表済み、論文準備中)。 2.名前認知実験の結果から、「人物」に関連する記憶要素が個人的知人と有名人との間で複雑に重複することが明らかとなった(国際学会発表済み、論文投稿済)。そこで有名人について、性格・身体運動・視覚イメージ・知識の4つの記憶要素を仮定し、その脳内表象を同様に研究した。その結果、性格と知識の脳内表象が左後部皮質の異なった領域で明らかとなった(国内学会発表済み、国際学会発表予定)。 3.「人物」と「場所」について、既知に「個人的」と「有名」の2カテゴリーを考慮し、未知刺激との比較を行う写真刺激提示を用いたfMRI研究を行った。提示反復による賦活減少が記憶への関与の指標になることを利用し、既知カテゴリーと反復提示の影響を「人物」と「場所」で比較する。現在実験最終段階である。
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