2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18680029
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
小村 豊 独立行政法人産業技術総合研究所, 脳神経情報研究部門, 研究員 (80357029)
|
Keywords | 神経科学 / 脳・神経 |
Research Abstract |
我々は、おびただしい視覚情報の中から、目だった刺激に、まず目を向け、意図するものでなければ、次に目立った刺激に、目を向けるという戦略をとることで、効率的な視界探索を果たしている。このように、能動的に環境を抹索するときの脳内機構を解明すべく、研究初年度の平成18年度は、サルを使った行動実験系を確立した。行動課題として、視界探索課題を開発した。本課題では、赤と緑のランダムドットが、反対方向(例えば上下)へトランスバレントに動く視覚刺激をサルに呈示する。試行は、ターゲット検出条件と非検出条件に大別される。検出条件では、サルは、ターゲットの色のドットが動く向きを、左右のバーのどちらかを正しく選択しなければ、報酬(ジュース)を与えられない。非検出条件では、ランダムドットの物理的性状によらず、下のバーへ反応さえすれば、報酬が与えられる。試行は、ブロック単位で行われ、それぞれのブロックで、各条件を、(検出条件か、非検出条件か、検出条件なら、ターゲットの色は、赤か緑かを)手がかり刺激の色として、教示している。ランダムドットが同方向に動くコヒーレンスを操作して、ターゲットとしての明瞭度を暖昧にすると、検出条件では、正解率が低下し、反応時間が、延長したが、非検出条件では、正解率と反応時間ともに、変化しなかった。また、本課題を、サルに、free viewingで遂行させると、サルの眼球運動は、正解時には、手がかり刺激の色のドットを、パーシュートとサッケードを使って、追跡していた。逆に、エラー時には、非ターゲットの色のドットを追跡していたが、非ターゲットの色の輝度を低くしたり、空間的に、ターゲットから分離すると、そのエラーは減少した。以上のことから、サルが、ヒトと同じように、刺激のsalienceに従った外発的な過程と、内発的にターゲットを志向する過程が、協調して、視界を探索することを裏付けている。
|