2006 Fiscal Year Annual Research Report
ユビキチン化封入体を形成する神経変性疾患におけるヒストンジアセチラーゼ4の役割
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18680031
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
藤ヶ崎 純子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (60312021)
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Keywords | ユビキチン / ヒストンジアセチラーゼ / 核内封入体 / 細胞質内封入体 / プロテアソーム阻害剤 / 神経変性疾患 / 脊髄小脳失調症7型 / アミロイド前駆蛋白 |
Research Abstract |
本研究はヒストンジアセチラーゼ4(HDAC4)が細胞の核-細胞質間を移行し細胞骨格蛋白の発現を調節する機能に注目し、HDAC4が細胞質内、核内双方のユビキチン化封入体形成に関与する過程を機能的に解析することを目的とする。本年度は研究の基盤を固めるため、対照となる細胞モデルのユビキチン化封入体形成について検討した。ユビキチン化封入体を形成する神経変性疾患の細胞モデルとして、テトラサイクリン制御システムを利用した脊髄小脳失調症7型(spinocerebellar ataxia type7 : SCA7)の細胞モデル(PC12)、およびプロテアソーム阻害による神経変性細胞モデル(SH-SY5Y)を用いた。SCA7の細胞モデルにて分化誘導、非分化誘導下において変異蛋白の発現を誘導した後、3週間経時的に観察したところ、分化誘導下では核内に、非分化誘導下では核内と細胞質内にユビキチン化封入体が観察された。細胞質内に形成された封入体の一部がHDAC4陽性であったが、陽性頻度は低かった(<1%)。プロテアソーム阻害による神経変性細胞モデルでは核内と細胞質内にユビキチン化封入体封入体が形成されたが両封入体にHDAC4陽性像は見られなかった。以上の結果より、両細胞モデルにおいて内在性HDAC4はユビキチン化封入体との積極的な関与が少なく今後の解析が困難と考えた。現在はHDAC4の発現ベクターを用いて細胞内にHDAC4を強制発現し、その動態を検索中である。 平行して、SCA7細胞モデルを用いユビキチン化封入体に関与する新たな因子を検索した。結果、アミロイド前駆蛋白様蛋白(APLP)が変異蛋白発現下において核内へ移行すること、またプロセッシングを受けたAPLPが核内のユビキチン化封入体に関連していることを見いだした。今後、APLPのプロセッシングとSCA7における神経細胞死の関係について更に検討を加える。
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