2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18680040
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
村田 正治 Kyushu University, 医学研究院, 客員准教授 (30304744)
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Keywords | 造影剤 / 薬物送達システム / ナノ構造体 |
Research Abstract |
画像診断法の発展は疾病の早期発見とその治療効果の改善にめざましい進歩をもたらしている。なかでもMRIは非侵襲・無障害であること、そして軟部組織コントラストが高く、空間分解能に優れていることから臨床医学の現場において重要な位置を占めている。MRI造影剤の利用は病変部位の明瞭な描画のために必要不可欠の手段となりつつある。既に、肝臓、脾臓、そして骨髄といった網内系に特異的な造影剤が臨床において広く使われており、組織選択性という観点では大きな成果を上げている。しかし癌など特定の疾患に対する特異性は低く、未だ開発途上と言わざるを得ない。そこで本研究では、疾患シグナルに応答する造影剤の開発を目指す。これを可能にするには、疾患シグナルがスイッチとなり、その物性を大きく変化させる材料が必要である。本研究では古細菌が作るsmall heat shock protein(Mj285)に着目した。このタンパク質は内孔(内径10nm)を有する球状構造体(24量体、外径20nm)を形成するため、その内部にガドリニウム錯体を内包することが可能である。本年度はその内孔に、蛍光波長の異なる蛍光プローブAlexa488とAlexa594を内包したナノタンパク質を作成した。このカプセルをAlexa488の励起波長488nmで励起したところ、570nmをピークとする蛍光が観察された。この蛍光はAlexa594に由来するものであり、約10nmの空間に固定化されたAlexa488とAlexa594間において蛍光エネルギー移動(FRET)が起こったことが示唆された。興味深いことに、このFRETナノ粒子をプロテアーゼで消化したところ、蛍光ピーク波長が520nmにシフトしFRETが解消した。これらの結果は、このFRETナノ粒子によってプロテアーゼ消化反応をモニタリングできる可能性を示している。
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