Research Abstract |
本研究では筋, 骨, 軟骨, 脂肪などの間葉系組織の分化についてPGC-1αを中心にメカニカルストレス(物理的刺激)によるその制御を検討した. 研究最終年度である平成20年度は新たに分かったPGC-1αのアイソフォームがメカニカルストレス誘導性の異なる細胞内シグナルによって別々に転写調節されていることを示唆するデータが得られた. また, メカニカルストレスがPGC-1αの転写調節を行うシグナル伝達経路を追う過程で, メカニカルストレス誘導性の細胞内シグナル伝達経路を複数同定した. この研究を通じて, ある程度メカニカルストレス誘導性のシグナル伝達経路を特定できたこと(J Biol Chem, 2008 ; Am J physiol Cell Physiol, 2008 ; Am J Physiol Cell Physiol, 2006)は, メカニカルストレスによって間葉系細胞の分化・成熟を制御するうえで有意義であると考えられる. また, 本研究を遂行中に偶然, メカニカルストレス誘導性のマイクロRNA(miRNA)を同定した.このストレス誘導性miRNAを培養筋細胞, およびマウス個体で強制発現させることにより, デキサメタゾン依存性の筋萎縮が完全に抑制された(2008年アメリカ生理学会(IBE)にて発表し, Research Recognition Award受賞). 我々は, さらにこのmiRNAの標的遺伝子を同定し, 大まかな機能解析を終え, 特許出願および現在論文投稿中である. 研究最終年度の総括としては, 研究機関3年間で, 原著論文5編(加えて投稿中準備中3編), 総説4編, 学会発表17件, 特許出願1件は十分な成果だったと考える.
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