2008 Fiscal Year Annual Research Report
骨格筋の萎縮、再生、肥大に関する分子メカニズムの解明と老化制御
Project/Area Number |
18680048
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
町田 修一 Tokai University, 体育学部, 准教授 (40421226)
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Keywords | 老化 / 筋萎縮 / 幹細胞 / 脂肪細胞 / 分化 |
Research Abstract |
加齢に伴い骨格筋の筋肉量は低下し、その一方で筋肉内の脂肪量が増加することが知られている。我々はこれまで、ヒトのサルコペニアと類似した表現型を示す加齢実験動物(ラットもしくはマウス)を用いて、高齢期再生筋では脂肪蓄積が顕著に認められること、さらに筋再生に重要な役割を担う筋サテライト細胞を若年期骨格筋より単離し、適切な条件下で培養すると、筋細胞(筋管細胞)だけでなく、脂肪細胞へも分化転換できる能力を有していることを見出してきた。そこで平成20年度は、高齢期骨格筋の脂肪蓄積に関するメカニズムを解明することを目的に、高齢期筋サテライト細胞の多分化能について検討を行った。実験には、成熟期(6-7月齢)および高齢期(31-32月齢)の雄性ラットを実験動物として用いた。各ラットの両下肢の主要骨格筋より筋サテライト細胞を単離し、コラーゲンコートされた培養皿で80-90%コンフルエントになるまで増殖培地にて培養した。その後、脂肪細胞分化誘導培地、もしくは筋細胞分化誘導培地に交換し、単離した筋サテライト細胞の多分化能について検討を行った。その結果、高齢期筋サテライト細胞は筋(筋管)細胞に分化するだけでなく、脂肪細胞の転写制御因子であるC/EBP alphaの核内での発現を伴って分化転換する能力を有していることが認められた。さらに、その分化転換能力は、成熟期筋サテライト細胞よりも強い傾向であった。我々はこれまで、DNAマイクロアレイ等を用いて、高齢期骨格筋の再生能低下と脂肪蓄積を制御する外的要因として、マクロファージ関連の増殖因子やサイトカインを同定してきた。今回の結果は、細胞外の環境要因だけでなく、筋サテライト細胞が有する内的要因(多分化能)によっても高齢期骨格筋での脂肪蓄積が生じる可能性を示唆するものである。
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Research Products
(8 results)