2007 Fiscal Year Annual Research Report
出土木製品保存処理に使用されるPEGの分子量分布変動と処理後に与える影響
Project/Area Number |
18680053
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Research Institution | Tohoku University of Art and Design |
Principal Investigator |
米村 祥央 Tohoku University of Art and Design, 芸術学部, 講師 (50332458)
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Keywords | PEG / 分子量分布 / 低分子化 / 保存環境 / 出土木製品 |
Research Abstract |
前年度に引続き、水分量と分子量分布変動の関係について検討し、液体状態のPEGが水分量の増加と共に低分子化反応の速度が大きくなることが明らかになった。これまでの結果から、保存処理工程におけるPEGを低分子化させる要因が明確になってきた。また、保管環境中の分子量分布変動について検討するため、一般的な保存処理工程で使用される温度(約60℃)と,100℃において強制劣化させたPEGを固化させ、乾燥および高湿度(100%RH)の環境で保管したPEGの分子量分布を分析した。室温・高湿度環境では、約60℃で加熱したPEG表面が濡れ、100℃で強制劣化させた固体PEGの形状はくずれてしまった。40℃に温度が上がると、高湿度下のPEGは完全に液状化してしまった。分子量分布の分析においても、強制劣化させたPEGは、同じ保管環境におきても低分子化反応の速度が大きいことがわかった。これは保管時の温度が高くなるほど顕著である。そのため、温湿度のコントロールがされていない収蔵施設において、特に夏の高温高湿度になる時期にはPEGの劣化が進む可能性が示唆された。一度高湿度下で低分子化したPEGは更に水分を取り込みやすくなる。そのため低分子化反応がさらに加速され、固化しにくい状態となる。保存処理された木製品の経年劣化に関する調査では、木製品表面が濡れた状態になっているものが多く確認されている。本結果はそのような諸現象を裏付けるものであり、保存処理後の保存環境を整備するための重要なデータとなった。
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Research Products
(2 results)