2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18680054
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
小口 千明 埼玉大学, 地圏科学研究センター, 助教授 (20312803)
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Keywords | 岩石 / 土壌 / 塩溶液 / 硫酸塩 / 毛管現象 / 岩石物性 / 塩類析出 / 塩類風化 |
Research Abstract |
本研究は、地圏材料における塩類析出から塩類風化にいたる一連の現象を体系化し、種々の塩害対策を講じる際に必要な基礎情報の提供することを目的としている。塩類析出の際の環境条件と塩類溶液物性との関係と、塩類析出時に発生する応力と岩石物性との関係の双方を評価して進める必要がある。 平成18年度は、主に野外調査と各種物性試験を中心として研究を行った。海外での野外調査では、アジア内陸部の乾燥地形や、ヨーロッパにおける天然の岩石・土壌や石造・土構造遺跡を主な対象とし、これらの塩類析出状況と塩類風化状況を把握した。国内の調査では、硫酸塩の析出を伴いやすい凝灰岩産出地域や火山地域や、炭酸塩の析出しやすい石灰岩およびコンクリートを主な調査対象とした。現地における調査結果からは、天然の岩石壁面および人工建造物いずれにおいても、塩類溶液の毛管上昇高さが塩類風化による岩盤劣化の損傷位置とほぼ等しいことが明らかとなった。 塩類溶液の毛管上昇高さは、すなわち、塩類風化の際に塩類が析出する高さと密接な関係がある。しかもその高さは、岩石物性の違いによる。このことを実証するために、大谷凝灰岩を用いて塩類風化実験を行った。角柱状に整形した荒目、中目、細目の3種の大谷石を、20℃における飽和溶解度に調整した硫酸ナトリウム溶液に一昼夜浸した後に、40℃に設定した炉乾燥機内で一昼夜乾燥させることを繰り返した。この実験より、1週間足らずで塩類析出による崩壊が起こり、塩析出の量および高さと、それに伴う崩壊が大谷石の種類ごとに違うことが明らかになった。注目した岩石物性の中では、とくに、ミクロポア(小さい間隙径を持つ間隙)を多く含み、圧裂引張強度が小さい岩石ほど、塩類風化を受けやすいことが判明した。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Application of weathering susceptibility index to salt damage on a brick monument.2006
Author(s)
Oguchi, C.T., Matsukura, Y., Shimada, H., Kuchitsu, N.
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Journal Title
Heritage, Weathering and Conservation (Fort, A. B., Gomez, H. and Vazquez, C (eds)) (Taylor & Francis Group, London)
Pages: 217-227
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