2008 Fiscal Year Annual Research Report
大脳新皮質の神経前駆細胞におけるG蛋白質シグナリングの役割
Project/Area Number |
18680901
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
眞田 佳門 Osaka University, 医学系研究科, 独立准教授 (50431896)
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Keywords | 大脳新皮質 / 細胞極性 / 神経細胞移動 / LKB1 / 中心体 / 神経前駆細胞 / G蛋白質共役受容体 / 三量体G蛋白 |
Research Abstract |
大脳新皮質において、神経細胞は神経幹細胞から生み出され、新生神経細胞は脳表層側に移動して最終分化を遂げる。わたしは、神経幹細胞から神経細胞が誕生する際に、三量体G蛋白質が重要な役割を果たしていることを見出していた。そこで、神経前駆細胞に発現するG蛋白質共役受容体を探索した結果神経前駆細胞に特異的に発現するオーファン受容体を同定できた。このG蛋白質共役受容体を発現抑制すると、神経前駆細胞からの神経新生が抑制された。さらに興味深いことに、発現抑制した前駆細胞は最終的にアストロサイトへと分化することが判明した。このことから、神経前駆細胞においてG蛋白質共役受容体を介したシグナリングが運命決定に重要な役割を果たしていることが明らかになった。 一方、前年度までの研究により、LKB1と呼ばれる分子が神経細胞の移動に必須であることを見出していた。LKB1の作用機構を精査したところ、移動中の神経細胞においてLKB1がGSK3βのリン酸化および不活性化を担うことが明らかになった。さらにGSK3βのリン酸化の役割を検討した結果、GSK3βは移動中の細胞の先導突起先端で強くリン酸化されており、このリン酸化が引き金となってAPCと呼ばれる微小管結合蛋白質が微小管のプラス端に結合すること、その結果として微小管が形質膜にアンカーして微小管を安定化することが判明した。重要なことに、これら一連のイベントは中心体の進行方向への移動に必須であることを明らかにした。つまりLKB1はGSK3βのリン酸化を介して中心体の移動を制御し、その結果として神経細胞移動に寄与していることが明らかになった。
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