2007 Fiscal Year Annual Research Report
北極海における環境変動の監視・実態把握に向けた自律型無人小型飛行機の応用
Project/Area Number |
18681004
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
猪上 淳 Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology, 地球環境観測研究センター, 研究員 (00421884)
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Keywords | 北極海 / UAV / 地球温暖化 / 海氷 / ノルウェー |
Research Abstract |
無人飛行機(UAV)の観測: UVAを北極圏の実態把握のための研究に応用するため、ノルウェーのスピッツベルゲン島ニーオルスンにて、平成20年7月28日から8月20日の間に計14回のUAV観測を行った。期間前半には測器及びUAVの調製を兼ねて現地の地上観測を中心に行った。詳細な表面状態の写真撮影・表面温度観測・気象観測を同時に行い、衛星では捉えることの出来ない高時間・空間分解能のデータを取得した。また期間後半には、フラム海峡へ向けて長距離の飛行を行った。北大西洋から北極海へ北上する海面水温4〜6℃の大西洋水が観測され、その空間分布に伴う気温の変化も捉えられた。氷縁域では海氷の融解水に伴う海面水温の急激な低下なども観測された。この観測に際し、ニーオルスン日本基地に滞在する必要があったため、国立極地研究所との共同研究を申請し、採択された。 データ解析: 過去にアラスカで行われたUAV観測による海氷画像データを用いて、観測衛星による海氷密接度データにおけるmelt pondの誤差の影響を調べた。その結果、衛星データはmelt pondによって約7%海氷密接度を過小評価していることが明らかとなった。この成果はアメリカ気象学会誌に印刷された(Inoue et al. 2008 JTEC)。また、船舶の目視観測で取得された海氷密接度データを用いても、衛星データには解析アルゴリズムの違いに伴う誤差が生じることも確認され(Inoue et al. 2008 JGR)、夏の海氷密接度(海氷面積)の定量的な議論には注意が必要であることを示した。 データ同化実験: 北極海は気象データが乏しい上に、今後氷上ブイによる気象データがさらに減少する可能性がある。そこで北極海の気象データの有無が及ぼす大気循環への影響評価を行うため、北極海上の気象データの同化実験を開始した。
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