2006 Fiscal Year Annual Research Report
アジア高山域の氷河上雪氷微生物群集の季節変化とその環境要因
Project/Area Number |
18681005
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
竹内 望 千葉大学, 大学院自然科学研究科, 助教授 (30353452)
|
Keywords | 氷河 / シアノバクテリア / 天山山脈 / クロロフィル / 積雪 / 衛星画像 / 中国 |
Research Abstract |
本年度は,調査対象氷河での予備調査を中心におこなった.本研究の対象氷河は中国新彊ウイグル自治区のウルムチNo.1氷河である.この氷河を選定した理由は,もっともアクセスがいい中国の氷河のひとつであり,古くから氷河変動のモニタリングが行われているためである.まず,調査を前に中国側の共同研究者と研究計画の打ち合わせを行った.氷河に関する過去のデータを提供してもらい,氷河の物理,化学環境の整理を行った.また,昨年度までに採取された氷河上の積雪サンプルを中国側から提供してもらい,積雪中の微生物の試験的な分析を行った.提供された積雪サンプルの分析の結果,光合成微生物シアノバクテリアが含まれていることが明らかになった.7月から8月にかけて,ウルムチNo.1氷河にて実際に予備的な調査をおこなった.調査は,氷河表面の積雪または氷のサンプリングを行うとともに,融解水のpH,電気伝導度などの水質測定や携帯型分光放射計をつかった表面の反射スペクトルの測定等をおこなった.調査で得られたサンプルは,冷凍のままもしくは薬品にて固定したのち,日本へ輸送し,顕微鏡による微生物の同定,定量のほかに,クロロフィル測定装置による色素の定量,微生物同定のためのDNAシークエンスの分析,有機物の炭素,窒素安定同位体比測定等をおこなった.調査の結果,この氷河表面には主に3種のシアノバクテリアが存在し,そのバイオマスは他の氷河に比べ,極めて大きいことが明らかになった.また衛星画像をつかった雪氷藻類の分析方法の開発もおこない,赤い色素をもつ雪氷藻類に関しては定量できることが明らかになった
|
Research Products
(1 results)