2006 Fiscal Year Annual Research Report
高温プロセスで生成するハロゲン系汚染物質の分子レベルでの機構解明と制御法の構築
Project/Area Number |
18681011
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
坪内 直人 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (90333898)
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Keywords | 高温プロセス / de novo合成 / 残留性有害有機ハロゲン化合物 / 塩化水素 / フッ化水素 / 未燃炭素 / 炭素活性サイト |
Research Abstract |
本研究は、炭素物質の熱変換工程(熱分解・燃焼・ガス化)に係わるハロゲン化水素(HCl/HF)の発生速度を直接定量化するとともに、HCl/HFと炭素物質との反応をオンラインで解析して、炭素の表面構造に基づいた残留性有害有機ハロゲン化合物の生成機構と排出抑制原理を分子レベルで構築することを目的としている。 平成18年度は主に、多種類の石炭の熱分解実験を行い、HClを直接定量するとともに、熱分解直後のnascent char上にHClを流通して、生成する表面塩素種の構造解析に取り組んだ。その結果、以下の結論を得た。 1.800℃でのHClとchar-Clの収率は、各々、47〜95%と4〜52%で、HClは最大で95%に達し、このような塩素分布はC%とは無関係であった。 2.石炭から生成するHClの速度プロファイルの温度変化は炭種に著しく依存し、速度ピークは280、360、470、510、580℃に出現した。 3.HClを500℃で褐炭チャーや活性炭上に流通した時のHCl反応量は、両者では殆ど変わらず、これらの比表面積とは無関係であった。 4.500℃でHCl処理した褐炭チャーのCl 2p XPS測定を行うと、塩素化芳香族構造や無機塩化物に帰属されるピークが出現し、チャー中の炭素や鉱物質とHClとの反応が進行した。 5.HCl処理チャーの昇温脱離(TPD)実験によると、HClの一部は500〜850℃で脱離するものの、残りは固相中に留まり、残留塩素は無機物である可能性が強く示唆された。 以上より、500℃以上で発生するHClは、炭素と反応して有害有機塩素化合物前駆体に変化すると推論された。
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Research Products
(3 results)