2007 Fiscal Year Annual Research Report
高温プロセスで生成するハロゲン系汚染物質の分子レベルでの機構解明と制御法の構築
Project/Area Number |
18681011
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
坪内 直人 Tohoku University, 多元物質科学研究所, 助教 (90333898)
|
Keywords | 高温プロセス / de novo合成 / 残留性有害有機ハロゲン化合物 / 塩化水素 / フッ化水素 / 未燃炭素 / 炭素活性サイト |
Research Abstract |
本研究は、石炭やバイオマスの熱変換工程に係るハロゲン化水素(HCl/HF)の発生速度を直接定量化するとともに、HCl/HFと炭素との反応をオンラインで解析し、その結果に基づき、残留性有害有機ハロゲン化合物の生成機構と排出抑制法を構築することを目的としている。 平成19年度は主に、HClの二次的反応による有害有機塩素化合物(前駆体)の生成機構を理解するため、純炭素上に100ppmHClを流通し、生成する表面塩素種の構造解析に取り組んだ。その結果、以下の結論を得た。 1. 炭素は、金属カチオンの無添加時でも、500℃ではHClと反応し、その量は500℃までに脱離する(CO_2+CO)量が増加するとほぼ直線的に増大したことから、炭素活性サイト(エッジ炭素)がHClとの反応サイトとして機能することが明らかとなった。 2. 金属イオンは含酸素官能基からのCO_2とCOの脱離を促進し、炭素サイトを増加させ、この効果の序列は(原子数基準)はCa<Cu<Znとなった。 3. X線光電子分光(XPS)測定の結果、Ca、Cu、Znの共存下では、これらの無機塩素化合物(CaCl_2、CuCl_2、ZnCl_2)が生成する一方、有機Cl/C原子比は炭素単独時の約2.0〜2.4倍に増大することから、Ca、Cu、Znは塩素化芳香族の生成を促進することが明らかとなった。 また、微粉炭火力発電所の電気集じん機から回収したフライアッシュ中のフッ素と炭素の構造解析を行ったところ、フッ素の大部分は表面の未燃炭素と結合した状態で存在し、このようなフッ素の割合は炭素表面の含酸素官能基量とともに増加する傾向が明らかとなった。 以上より、高温プロセスで非意図的に排出される有機ハロゲン化合物は、一旦脱離したHCl/HFと未燃炭素表面上の含酸素種から形成された活性サイトとの反応により生成すると推論された。
|
Research Products
(8 results)