2007 Fiscal Year Annual Research Report
自己組織化フォトニック結晶における巨大磁気光学効果の発現
Project/Area Number |
18681016
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
曽越 宣仁 Saitama University, 理工学研究科, 助教 (10361396)
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Keywords | 微粒子 / 磁気光学効果 / コロイド結晶 / フォトニック結晶 |
Research Abstract |
貝殻の内側、昆虫の体表面、クジャクの羽などは特有のあざやかな発色を示す。これらの発色は色素に代表されるような素材の色によっておこるのではなく、光の散乱体が数100nm程度の繰り返し単位をもって規則正しくならんだ構造を持っているためである。このような構造による発色を構造色という。大きさのそろった球状コロイド微粒子の分散液をゆっくり蒸発させると、メニスカスの後退とともに微粒子が固-液-気の界面に充填されて、微粒子の周期的配列体が得られることが知られている。これは人工オパールまたはコロイド結晶と呼ばれる。コロイド結晶は自己組織化プロセスで簡便に作製することができるフォトニック結晶であり大いに注目される。構造色は可視光の波長領域のブラッグ回折により起こるが、その周辺の波長領域で強い分散関係を示す。その結果、ブラッグ回折波長よりわずかに外れた波長の光に対し、その群速度は極端に低下し、結果として実効的な光路長が極端に長くなった状態に等しくなる。本研究では、このようなフォトニック結晶と光が強く結合する性質を利用して、磁性と光の相互作用である磁気光学効果の1つであるファラデー効果の増強について検討した。磁性を付与するために、(1)微粒子に磁性体を複合化する、(2)集積した微粒子の配列体を鋳型に用いて磁性体のナノ構造を作製すること試みた。大きな壁は磁性体の多くが可視光に対して不透明であることであったが、この点について精力的に検討し、透明な微粒子の中心部に小さな磁性のコアを持たせる構造が最適であることを見いだした。磁性を帯びたフォトニック結晶中では光の群速度遅延により実質的な光路長が長くなることが分かった。磁気光学効果は光通信などにおいて光の整流作用や双方向通信での光の分離を担う非相反素子に使われるが、この研究により、コロイド結晶が可視光領域での良好な磁気光学効果素子となりうることが示された。
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