2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18681022
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
三井 敏之 青山学院大学, 理工学部, 助教授 (40406814)
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Keywords | 生物物理 / ナノ材料 / マイクロナノデバイス |
Research Abstract |
本年度、蛍光顕微鏡を導入し、YOYO-1蛍光分子を49.8kbpのDNAに付着させて1分子ごとDNAを観測できることを確認した。次にフォーカスドイオンビーム(FIB)によりマイクロサイズの穴(ポア)をSiN薄膜にあけ、そのポアをイオン溶液に浸す。ポアの両側に電位差を加えると、穴の付近に電場が形成される。マエナスイオンともに、マエナスに帯電したDNAが穴を通りぬける。これは、イオン電流を検出すると一分子レベルでの通り抜けが確認できる。今回は、この現象を蛍光顕微鏡を用いて直接観測した。イオン電流検出の実験において懸念されていたDNAがポアにつまる現象を蛍光顕微鏡により直接観測した。実際、この現象は、ポアの大きさによらずマイクロサイズの大きなポアにおいてもポアの縁にDNAが吸着することが観測されたことから、つまるというより、SiN膜に吸着することが結果としてポアにDNAがつまる原因と判明した。現在、SiN薄膜に直径150nmのポアを20μm間隔で9個あけ、DNAがこれらのポアを通る現象の直接観測を行っている。それぞれのポアの周りにDNAが付着していくのが観測された。その付着の度合いにより、DNAが通り抜ける頻度が異なることを確認した。ただ今、頻度を定量分析している。次に、同時にポアの流れるイオン電流を検出することを試みる予定である。 現在、泡がポアにつまって、イオン電流が流れなくなる現象が観測される。この現象が起こると、実験を最初から立て直す必要がある。そこで、泡を瞬時に取り除く対処法としてマイクロチャネルをPDMS, PET,石英などを用いて作りこれらを利用し、ポアの付近に流路を設置する計画をたてた。この流路により液体に流れをつくり、ポア内に形成した泡は、液体の流れとともに押し出されることを期待している。現在、PDMS, PET,によりマイクロサイズ(100μm〜20μm程度)の溝をフォトリソグラフにより製作し、その溝にカバーガラスを付けてチャネル構造をつくった。蛍光顕微鏡の焦点距離が、カバーガラスの厚さより薄いので、溝に液体と共に流れるDNAを一分子レベルで直接観測することにより、チャネル内の流れを確認した。今後これらの溝をボアの実験に用いる予定である。 これらの結果を2月に開催されたナノシンポジウムで発表した。
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