2007 Fiscal Year Annual Research Report
シンセティック・バイオロジーによる人工RNP複合体及びシステム進化系の構築
Project/Area Number |
18681034
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
齊藤 博英 Kyoto University, 生命科学研究科, 助教 (20423014)
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Keywords | RNA / 進化分子工学 / 翻訳 / リボスイッチ / シンセティックバイオロジー / 遺伝子回路 / RNP / 遺伝子発現制御 |
Research Abstract |
近年、生体分子や遺伝子ネットワークを「人工的に創り出す」作業を通して生命システムを理解しようとする「シンセティック・バイオロジー」が注目を集めている。本研究では、生体内で多くの機能を担うRNA-蛋白質(RNP)複合体をシンセティック・バイオロジーの一つの素材と捉え、(1)機能性人工RNP創製のための基盤技術を開発し、(2)RNPを利用した人工遺伝子回路を構築することを目指した。さらにこの複合体を工学的に応用し、(3)RNA-蛋白質相互作用に基づいた新しい遺伝子発現制御システム(RNPスイッチ)を構築することを研究目的に定めた。本年度は、人工RNPをデザインする基盤技術の開発、及びそのRNPを利用した人工翻訳制御システムを試験管内、及びヒト細胞内で構築することに成功した。具体的には、以下の研究成果を達成した。(a)機能性人工RNP創製のための基盤技術として、天然に存在するRNA-蛋白質相互作用に関連したモチーフを取得した。HIVのRNA結合蛋白質RevとバクテリオファージλN、及びそれらと特異的に相互作用するRNAモチーフを基盤にして、人工RNPをデザインし、その構造と配向性のデザインをゲル電気泳動及びFRETにより確認し、目的の人工RNP構造をデザインする技術を確立した。(b)RNP相互作用を基盤とした人工遺伝子回路を作成するため、ヒト細胞内で機能する人工リボスイッチを作製した。モデルシステムとして、GFPの発現を様々なパターンで制御できるRNPスイッチを創出した。(c)さらに、このシステムをヒト細胞に導入することで、ガン細胞のアポトーシス誘導回路をON/OFFに制御するRNPスイッチを創出することに成功した。
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