2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18681035
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
清水 史郎 独立行政法人理化学研究所, 長田抗生物質研究室, 研究員 (30312268)
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Keywords | ヘパラナーゼ / ヘパラン硫酸 / ジスルフィド結合 / がん細胞 / 転移・浸潤 |
Research Abstract |
がん細胞が他臓器へと転移・浸潤する際には細胞外マトリックスの分解が必要である。そのために、がん細胞は様々な細胞外マトリックス分解酵素を産生している。その代表的なものがマトリックス・メタロプロテアーゼとヘパラナーゼである。前者は細胞外マトリックス中の種々のタンパク質を分解するのに対し、ヘパラナーゼは細胞外マトリックス中のヘパラン硫酸を分解することで、がん細胞の転移能を昂進させる。マトリックス・メタロプロテアーゼの活性化機構および阻害剤開発は進んでいるが、ヘパラナーゼのそれは不明な点が多いのが現状である。 本年度では、糖鎖修飾によるがん転移制御機構の解析のために、ヘパラナーゼの活性化における翻訳後修飾の役割、なかでもジスルフィド結合の重要性について検討を行った。ヒト・ヘパラナーゼを培養細胞の培養液から精製し、MALDI-TOF質量分析法によりジスルフィド結合の有無、さらには結合システイン残基の同定を行った。その結果、Cys127-Cys179およびCys437-Cys542がジスルフィド結合していることが確かめられた。続いて、システイン残基をセリン残基に変換し、ヘパラナーゼ活性化におけるジスルフィド結合の役割を解析した。その結果、Cys127-Cys179のジスルフィド結合の役割はヘパラナーゼの細胞外分泌に若干の促進効果が認められる程度で;あったが、Cys437-Cys542のジスルフィド結合は、ヘパラナーゼのゴルジ体輸送、引き続き起こる細胞外分泌、そして、活性化に必須であった。 以上の結果から、ジスルフィド結合を形成させる酵素などが新たながん分子標的となりうる可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)