2008 Fiscal Year Annual Research Report
西アフリカにおける精霊の森を含む景観の歴史的成因と生物・文化多様性の保全
Project/Area Number |
18681036
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山越 言 Kyoto University, 大学院・アジア・アフリカ地域研究研究科, 准教授 (00314253)
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Keywords | 生態史 / アニミズム / 在来知 / 鎮守の森 / 伝統文化 / 生物多様性 / 森林保全 / GIS |
Research Abstract |
本研究課題は、村落の周辺に広がる小森林の成因およびそれら森林の増加/減少に関して活発な論争が進行中の西アフリカ・ギニア共和国の南部森林地域において、森林の成立、維持に関する歴史的変遷と人為的働きかけのメカニズムを明らかにし、現在それらの森林が果たしている生物多様性保全上の意義および、森林を舞台とした伝統文化の継承・維持に寄与する意義を明らかにすることを目的としている。本年度は、これまでに収集した19世紀後半以降、調査対象地域で本格化する植民地支配に伴い、この地域を様々な理由で訪れたヨーロッパ人が残したさまざま資料(日記、政府への報告書、写真、映像など)から抽出された森林被覆に関する情報を、今日の森林被覆・利用状況と重ね合わせることに注力した。すでに入手している最新の衛星写真をベースに、アナログで断片的な諸資料からの情報マッピング作業をすすめた。さらに、ギニア共和国における現地調査を行い、マッピングによって得られた森林管理・利用に関する仮説を、当時の状況を知る村人にインタビューを行い、口承伝承による景観についての生態学的知識の保存、改変の度合いについて検証した。また、現地調査により、過去の写真資料等により確認できる巨木の現存を確認し、樹木単位での景観変遷を追うことにより、前述の調査によって得られる森林被覆変化の精確さを検証した。すでに刊行されている学術資料の中から、西アフリカを中心に精霊の森に類する村落周辺林に関するレビューを行い、本研究によって得られた一次資料の汎用性について検討した。また、日本国内における類似の現象である、いわゆる「鎮守の森」に関する諸研究を子細に検討し、本研究の成果から、国内の森林文化保全の展開に貢献することを試みた。
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