2006 Fiscal Year Annual Research Report
東アジア経済成長における日本の大学の役割に関する実証分析
Project/Area Number |
18683002
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
権 赫旭 日本大学, 経済学部, 専任講師 (80361856)
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Keywords | 全要素生産性(TFP) / 国際間生産性比較 |
Research Abstract |
平成18年度には、経済産業省経済産業研究所と協力して、政府個票データの目的外利用申請を行い、90年代日本の生産性低迷の原因を生産性上昇の要因分解分析を行った。これにより、90年代の生産性上昇の減速した原因は生産性がより高い企業が退出するなどの産業の新陳代謝機能が停滞したためであるとの結果を得た。この成果はJapanese Economic Review 57巻(2006年1月)に公表した。また邦文論文を林文夫編『経済停滞の原因と制度』で発表し、日本経済学会や日本経済新聞等で取り上げられるなど反響が大きかった。 日本経済研究センター、一橋大学の経済制度センターと日本大学経済学部の中国・アジア研究センターと協力して、日本、中国および韓国の企業データを用いて、全要素生産性(TFP)を計測し、その国際的な比較方法を新たに提案した。新たな生産性比較方法によって、得られた結果は以下の通りである。まず、多くの産業において、日本の生産性レベルが最も高いが、この20年近くの間、日本の生産性の上昇は非常に小さい。これに対し、韓国ではいくつかの産業で生産性の顕著な上昇がみられ、一般機械、電気機械など、日本の全要素生産性レベルを超えている産業もあった。しかし、多くの産業で、中国の全要素生産性レベルは日韓よりもかなり低い水準にあった。また、日本では、韓国・中国と比較して、産業内の各企業の生産性のバラツキが非常に小さい。長い期間データが取れる日韓を比較して分析してみた結果、日韓ともに、企業間の生産性のバラツキはほとんどの産業で経年的に拡大している。しかし、日本では、同一産業内の生産性ランキングが経年的にほとんど変化せず、上位企業は長期間上位に、下位企業は長期間下位にとどまり続ける傾向が見られた。この成果は『日本・中国・韓国企業の生産性データベースの作成』という日本経済研究センターの報告書にまとめられている。成果の一部は日本経済新聞や韓国の毎日経済新聞で報道された。 平成19年度には韓国企業が日本企業のキャッチアップ過程において経営者の日本と米国留学経験が及ぼした効果を定量的に分析していくつもりである。
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