2008 Fiscal Year Annual Research Report
東アジア経済成長における日本の大学の役割に関する実証分析
Project/Area Number |
18683002
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
権 赫旭 Nihon University, 経済学部, 准教授 (80361856)
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Keywords | 全要素生産性(TFP) / 日本産業生産性データベース / 日中韓の企業データ |
Research Abstract |
平成20年度には、日本の経済成長と産業構造変化を分析するための基礎資料として作成された日本産業生産性データベースの改訂・延長作業に参加した。その成果は経済産業研究所(RIETI)のホームページ(http://www.rieti.go.jp/jp/database/J-P2009/index.html)に公開されている。 平成18年から始まった日本経済研究センター、一橋大学の経済制度センターと日本大学経済学部の中国・アジア研究センタ°の日中韓台企業間の生産性比較の共同研究プロジェクトに引き続き参加して、日中韓の企業データの改訂・延長作業を行った。その結果は『日中韓台企業の生産性と日韓の組織資本の比較分析』という日本経済研究センターの報告書にまとめられている。 平成20年度には、作成された産業・企業レベルのデータを用いて、日中韓の生産性動向やその決定要医について分析した。主な発見は次の通りである。第一、日本経済における2001年以降の全要素生産性{以下ではTFPと略記)上昇率加速のかなりの部分が労働投入、資本サービス投入、中間投入等を減少させながら、生産量は維持または小幅の減少に留める、いわば企業内のリストラによって達成されたこと、そのようなリストラは、主にグローバルな競争圧力に直面する輸出企業、多国籍企業、研究開発を行う企業、等で行われたことを発見した。第二、中国企業全体のTFPは停滞していることとその原因が大企業のTFPが伸び悩むことによるものであることを確認した。第三、韓国企業のTFPはアジア金融危機以降大きく上昇したことを確認した。その原因は市場競争強化や制度改革によるものであることを回帰分析で明らかにした。 今後、構築された東アジアの企業データ、留学生情報、経営者情報データと無形資産データなどをマッチすることで、東アジア企業間のキャッチアップ過程に日本の大学からのスピルオーバー効果を厳密に分析する。
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