2006 Fiscal Year Annual Research Report
水面上での液滴運動に対する数理モデル化とその数理解析
Project/Area Number |
18684002
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
長山 雅晴 金沢大学, 自然科学研究科, 助教授 (20314289)
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Keywords | 応用数学 / 数理モデル / 離散勾配流法 / 反応拡散系 / 計算機支援解析 |
Research Abstract |
水面上での液滴運動のダイナミクス(小さい液滴は並進運動する,大きな液滴は分裂しながら並進運動をおこない小さい液滴となる,液滴同士は反射や合体を起こす)を数理的視点から解析するために,今年度は水面上を動く液滴の数理モデル化を中心に行った. (1)液滴運動の数理モデル化 値が正ならばその値が「液滴の高さ」を表し,零ならば「水面」を表すような,オーダーパラメータ的な関数を導入し,こめ関数を用いて,液滴の弾性エネルギー・液滴と水面の境界での表面張力エネルギー・運動エネルギーを与え,液滴運動を記述するオイラー・ラグランジュ方程式を構成した.この方程式から体積保存条件付きテスト関数を用いて変分をとることによって,液滴運動を記述する体積保存条件付の自由境界問題を得ることができた.この自由境界問題は波動方程式の自由境界問題となっており,これを近似的に空間全体に拡張することによって,体積保存条件付の液滴運動を記述する特異性を持つ非線形波動方程式を構成した.また,液滴の運動は液滴自体から水面に展開される表面活性粒子による表面張力差によって駆動されることから,水面上に展開される界面活性粒子のモデルを反応拡散方程式によって構成した. (2)数値計算コードの開発 液滴運動の数理モデルを数値計算するために,特異性のある波動方程式を数値計算するための体積保存条件を満たす離散勾配流法の計算コードを開発した.この計算コードを用いることによって,液滴の並進運動や分裂現象を数値計算によって確認することができた. これらの研究成果を12月に香港で開催された「East-Asia Workshop on Pattern Formations and Reaction-Diffusion Systems」にて講演し,3月の物理学会(鹿児島大学)にてポスター講演を行った.
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