2008 Fiscal Year Annual Research Report
すばる望遠鏡による近赤外線狭帯域撮像で探る遠方宇宙の銀河形成史
Project/Area Number |
18684004
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
児玉 忠恭 National Astronomical Observatory of Japan, 光赤外研究部, 准教授 (80343101)
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Keywords | 銀河形成 / 銀河進化 / 星形成史 |
Research Abstract |
本課題の内容は、すばる望遠鏡のMOIRCS装置に、専用狭帯域フィルターを作成して搭載し、z=2.2とz=0.81の二つの時代において、星形成輝線銀河を系統的に探査し、星形成の活動性を時間と環境の関数として定量化することである。初年度に作成したフィルターを用いて、H20年度の前率にはすばる望遠鏡の共同利用観測計7晩を獲得して、実際に観測を行なった。z〜2.2宇宙探査 : 多波長データが充実しているGOODSの100平方分角の領域をMOIRCS4視野でカバーし、星形成率で10太陽質量/年の深さで観測を行った。現在解析を進めており、すでにz=2.2のHα輝線銀河候補が多く見つかっており、現在この結果を定量化し、論文にまとめるよう努力中である。Hαをプローブとしてこのような遠方宇宙でこの深さかつ広さで解析を行ったのは初めてであり、遠方宇宙での銀河の活動性を精度良く定量化することができる。z〜0.8宇宙探査 : z=0.813にある銀河団(RXJ1716)において、狭帯域Hα輝線サーベイを行なった。この銀河団については、既にすばるによる可視光多色データを取得し、またあかり衛星によって中間〜遠赤外線で広視野(160平方分角)かつ深い観測を行なっている。データ解析は最終段階に差し掛かっており、既に多くの有意義な結果が出ており、国内外の研究集会で発表しており、現在論文の執筆中である。ハイライトは銀河団の中心部で星形成が欠落しているがそのすぐ周辺部で星形成活動が活発であること、強いダスト吸収を受けた銀河が多数あり、Hα輝線も吸収されて見られず中間赤外線のダスト放射で初めて見えてくる種族が相当数あること、などである。これは従来の可視光〜近赤外線だけでの観測では星形成活動を十分捕えきれていないことを示唆し、そのインパグ下は大きい。
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Research Products
(12 results)