Research Abstract |
本研究で開発するマルチビーム型IH-RFQリニアックの原理実証システムは,直接プラズマ入射型のマルチビームレーザーイオン源,マルチビーム型IH-RFQ加速空洞,ビーム収束系,ビーム分析・測定部,高周波増幅器および真空ポンプから構成される。今年度は,これまで研究準備をおこなってきたマルチビーム型IH-RFQリニアックの詳細設計と製作を重点課題とした。また,次年度におこなうイオン源開発やビーム加速実験について準備をおこなった。 マルチビーム型IH-RFQ加速空洞の開発については,運転時に使用する既存の高周波電源設備の周波数帯域や最大出力を考慮するとともに,電極の配列方法など準備研究における知見も取り入れながら,3次元CADにより基本モデルを設計した。そして,そのCADデータを3次元電磁場シミュレーションソフトウェアに直接取り込み,共振周波数,Q値,消費電力および電磁場分布を計算し,空洞各部および電極類の最適化をおこなった。また,電磁場解析,伝熱解析および構造解析を組み合わせた連成解析を実現させ,高周波発熱に対する効果的な冷却水路形状を明らかにするとともに,高周波電力を供給するための高周波結合器なども設計した。これらの結果については,International Conference on the Application of Accelerators in Research and Industry(CAARI2006)や,日本原子力学会などにおいて報告した。そして,加速電極の試作などを通じて加工精度なども含めた最終形状を決定し,原理実証のためのプロトタイプ機の製作をおこなった。 次年度におこなうイオン源の開発準備としては,直接プラズマ入射法とRFQリニアックの研究に取り組んでいるBrookhaven National Laboratory(米国)を訪問し,技術打ち合わせと関連実験をおこなった。また,ビーム加速実験に向けては,加速器運転時に必要となる冷却水循環システムや高周波電源など周辺機器について整備した。
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