2006 Fiscal Year Annual Research Report
超伝導検出器を用いた新しい中性子ベータ崩壊測定手法の確立
Project/Area Number |
18684011
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
三島 賢二 独立行政法人理化学研究所, 延與放射線研究室, 基礎科学特別研究員 (20392136)
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Keywords | 素粒子物理 / 核物理 / 粒子線測定技術 / 超伝導 |
Research Abstract |
平成18年度は研究テーマである超伝導トンネル接合素子(STJ)を用いた中性子β崩壊測定実験を推し進めた。実験には大面積且つ多素子のSTJが必要である。そこで、STJとしては世界最大級である500μm角の9素子アレイ作成を行った。大面積STJの多素子化に関しては歩留まりが問題であったが、既存の作成プロセスを改良することにより、9素子中8素子で均一に動作するSTJの作成に成功した。エネルギー分解能は5.9keVのX線に対し半値幅137eVという比較的よい分解能が得られた。 低エネルギーでの測定を実現するためには、さらなる分解能の向上が求められる。目標としている数百eVのエネルギー領域では、STJの分解能は電気容量に起因する電気ノイズにより決定される。STJの電気容量はシリコン検出器に比べ、数百倍大きい。そこで、大面積STJに最適化された前置増幅系の設計、製作を行った。 素子作成と平行して、STJを用いた中性子β崩壊測定システムの開発し、中性子ビームラインでテスト実験を行った。ここでは長時間測定に対応するため、パルスチューブ冷凍機を導入し、無冷媒での測定を可能にした。これにより従来5時間程度であった連続測定時間が20時間程度に伸び、より高精度での測定が可能になった。また、バックグラウンド除去のための工夫を加えたことにより、旧システムに比ベバックグラウンドを1/10に減らすことに成功した。
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