2007 Fiscal Year Annual Research Report
密度行列繰り込み群を用いた多自由度二次元量子多体系の数値的研究
Project/Area Number |
18684012
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
柴田 尚和 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 准教授 (40302385)
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Keywords | 二次元電子系 / 量子ホール系 / 密度行列繰り込み群 / グラフェン / 量子多体問題 / 数値計算 / スカーミオン / 電荷秩序 |
Research Abstract |
強磁場中の二次元電子系では一電子状態のエネルギーが全て同一となるランダウ準位が形成され、マクロな縮退が基底状態に現れる。この縮退は電子間のクーロン相互作用によって解かれ、分数量子ホール状態をはじめとする多彩な電子状態が実現するが、この電子状態を理論的に解明するためには、膨大な自由度をもつ量子多体問題を解く必要があり、未解明の問題が数多く残っている。 本研究では従来の計算手法では十分な解析が困難であったこのような巨大自由度をもり量子多体問題を解くための計算手法の開発と、そのための計算機環境の整備、さらに量子多体問題の典型といえる内部自由度をもつ量子ホール系の基底状態と励起構造の解明を目的としている。 本年度は前年度に開発した計算法に最適化された計算機環境を作製し、その有効性の検証をするために、近年注目を集めている単層グラファイト(グラフェン)の基底状態と励起構造を調べた。具体的な成果としては、まず、最適化されたクラスタ計算機を作製することで従来の2倍の規模の計算が可能になり、グラフェンに内在するバレーの自由度を考慮した計算が可能になったことが挙げられる。また、この計算により、これまで明確な結論が出ていなかったグラフェンにおける分数量子ホール状態とそこからの素励起であるバレースカーミオン励起、さらにストライプ、バブルといった様々な電荷秩序状態の存在を理論的に明らかにすることができた。これらの結果により、従来の半導体界面で形成される二次元電子系と単層グラファイトで形成される二次元電子系との相違点が明らかになり、二次元電子系で実現する電子状態のより深い理解と、実験的検証への道筋を与えることができた。
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Research Products
(10 results)