2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18684018
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
木村 憲彰 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30292311)
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Keywords | 空間反転対称性 / 重い電子系超伝導 / 上部臨界磁場 / 量子相転移 / 量子臨界点 / 非フェルミ液体 / 圧力誘起超伝導 / 磁性と超伝導 |
Research Abstract |
近年重い電子系の超伝導において、空間反転対称性のない(non-Centrosymmetric)超伝導(nCS超伝導とよぶことにする)が注目を集めている。これは、既存のsingletやtripletといったクーパー対の描像がnCS超伝導では成り立たず、新奇な超伝導の発現が期待されるからである。本研究は最近われわれが見出した、重い電子系nCS超伝導体CeRhSi_3の超伝導に関する研究を推進し、nCS超伝導の物理を開拓することを目的とする。本年度は、圧力セルの改良を行い、3GPaの圧力下までの測定を可能にし、CeRhSi_3の超伝導特性の異方性および圧力相図の詳細研究を行った。その結果、磁場をc軸にかけたときの超伝導上部臨界磁場は極めて高く、その温度依存性は直線的あるいは下に凸の振る舞いを示すことを明らかにした。また、パウリリミットをはるかに越える極めて高い上部臨界磁場および強い異方性は、既存のg因子および強結合の理論では説明できず、nCS超伝導の理論によって定性的に説明ができることを示した。圧力相図に関しては、反強磁性転移温度は圧力印加とともにいったん上昇した後減少に転じ、超伝導転移温度が最大値となる2.6GPaに向かうにつれ、、およそ1K程度の一定値に落ち着くような振る舞いを示すことを明らかにした。このような性質は、磁性と超伝導の関係や量子相転移の性質を探る上で大きなヒントになることが期待される。
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