2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18684020
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中辻 知 The University of Tokyo, 物性研究所, 准教授 (70362431)
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Keywords | 重い電子系 / 超伝導 / 幾何学的フラストレーション / カイラリティ / 二次元磁性 / 三角格子 / スピン液体 / 量子臨界現象 |
Research Abstract |
β-YbAIB_4は我々の開発した新物質であり、常圧で量子臨界性と80mK以下で超伝導性を示す重い電子系Yb化合物である。超純良な単結晶を作成し、その量子臨界性・超伝導性の詳細を明らかにする実験を行った。特に磁化、比熱の低磁場、極低温での測定から、温度入磁場βの比であるT/Bを関数とするスケーリング則に磁化、比熱が従うことが分かってきた。このことはゼロ磁場においてこの系が量子臨界点を持つことを示すだけでなく、従来型のSDWによる量子臨界性では理解できない新しいタイプの量子臨界現象であることがわかった。次に、パイロクロア型近藤磁性体Pr_2Ir_2O_7の2K以下のスピン液体状態において、ホール抵抗を温度・磁場の関数として詳細に測定した結果、大きな履歴現象を示すことを見出した。0.2K以上では常磁性状態であることから、観測された大きなホール抵抗のヒステレシスは、4fモーメントがカイラリティなどの高次の自由度を使って時間反転対称性を破ったスピン液体状態を形成することを示唆する。最後に、S=1の2次元三角格子系NiGa_2S_4の磁性及び非磁性不純物効果の研究の結果、NiGa_2S_4の低温比熱のr^2の振る舞いは単純な2次元スピン波的励起だけでなく、整数スピンに特有な量子効果によることが示唆された。また、共同研究によるμSRとESRの測定から、この低温状態は、MHz程度のスローダイナミックスを伴っているだけでなく、通常の磁気転移とは異なる新しい2次元の磁気相転移を経て現れることが分かった。この新しい相転移はZ_2 vortexの対形成による可能性がある。
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Research Products
(33 results)
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[Journal Article] Superconductivity and quantum criticality in the heavy-fermion system β-YbA1B_42008
Author(s)
S. Nakatsuji, K. Kuga, Y. Machida, T. Tayama, T. Sakakibara, Y. Karaki, H. Ishimoto, E. Pearson, G. G. Lonzarich, H. Lee, L. Balicas, and Z. Fisk
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Journal Title
Nature Physics Vol.4
Pages: 603-607
Peer Reviewed
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[Journal Article] Spin dynamics and spin freezing behavior in the two-dimensional antiferromagnet NiGa_2S_4 revealed by Ga-NMR, NQR and mu SR measurements2008
Author(s)
Hideo Takeya, Kenji Ishida, Kentaro Kitagawa, Yoshihiko Ihara, Keisuke Onuma, Yoshiteru Maeno, Yusuke Nambu, Satoru Nakatsuji, Douglas E. MacLaughlin, Akihiko Koda, and Ryosuke Kadono
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Journal Title
Physical Review B Vol.77
Pages: 054429/1-13
Peer Reviewed
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