2008 Fiscal Year Annual Research Report
始生代地球における初期生命進化を導いた地質-生物相互作用に関する研究
Project/Area Number |
18684027
|
Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
高井 研 Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology, 極限環境生物圈研究センター, プログラムディレクター (80359166)
|
Keywords | 生命の起源 / 初期生命進化 / 熱水活動 / 冥王代 / 太古代 / 超マフィック岩 / 水素生成 / エネルギー代謝 |
Research Abstract |
本研究は、「{超マフィック岩-熱水活動-水素-ハイパースライム}リンケージ(UltraH^3リンケージ)が,地球史のごく初期に生命の起源の場を準備し,引き続き初期生命生態系の誕生を導き,現在に至るまでその生態系を支えてきた」とする独自の作業仮説を,分野横断型研究アプローチにより検証することを目的とする。 上記目的の達成のため、1 初期海底熱水系のモダンタイプとしての現世の低・中途拡大中央海嶺域における海洋地殻の不均一性に支配されるUltraH^3リンケージへのフィールドワークによる検証、2 現世および始生代の超マフィック岩(かんらん岩,コマチアイト),マフィック岩(玄武岩,ドレライト,はんれい岩)を用いたUltraH^3リンケージに対する実験室内再現実験による検証による具体的な諸過程の解明を目指した。 <実験に基づいたUltraH^3リンケージの検証>実験に基づく検証に関しては、実際の海水を模して塩化ナトリウム,塩化マグネシウム試薬を用いて合成した人工海水を用いた蛇紋岩化高温高圧実験システムを確立した。その確立した実験システムを用いて、世界で初めて、「始生代超マフィック岩」であるコマチアイトの熱水反応より水素が生成することを証明した。 <フィールドワークに基づいたUltraH^3リンケージの検証>インド洋中央海嶺かいれいフィールドにおけるUltraH^3リンケージの存在様式が、従来の単純なマントルかんらん岩の海底面への露出に起因する場(例えばRainbow、Logatochez、Lost Cityといった大西洋中央海嶺の典型)とは大きく異なり、「かんらん石に富んだはんれい岩」のようなモホ遷移帯付近におけるマントルとマグマの相互作用にて特異的に形成される岩石においても形成される場であることを明らかにした。
|