2006 Fiscal Year Annual Research Report
下部マントル最下部に存在する地震波低速度層の起源の解明
Project/Area Number |
18684030
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
小野 重明 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部変動研究センター, 研究員 (20313116)
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Keywords | コア / マントル / 地震波速度 / 低速度層 / 高温高圧 |
Research Abstract |
本研究では、マントル物質やコア物質の物性について、高温高圧条件でのその場測定をすることが目的である。下部マントル最下部での地震波の低速度層の成因を考えるに際しては、液体鉄とケイ酸塩鉱物の反応を無視できない。なぜならば、低速度層はコア・マントル境界に存在するからである。そこで本年度は、高温高圧実験によって下部マントルの条件を実現し、X線、ラマンおよび赤外分光測定を使って液体のマントル物質およびコア物質の構造・密度などを測定ために不可欠な、マルチ分光装置の開発を行った。この装置により、液体の分光測定が、赤外から紫外波長の領域まで可能になり、標準物質の測定結果から、当初の目的の性能が発揮されていることが確認された。また、X線を使用した高圧実験も同時に遂行し、いくつかの重要な鉄化合物の物性測定を行った。特に、酸化鉄において、下部マントル最下部に相当する圧力条件で磁気相転移を確認した。また、硫化鉄においては、新鉱物を発見した。さらに、珪化鉄の研究においては、高圧相において大きな弾性は速度の減少を確認し、地震波低速度層の起源物質の有力な候補となりうることが判明した。また、マントル最下部の電気伝導度の見積もりを、実験データを用いて行った結果、非常に電気伝導度が高い層が存在することがわかり、この結果は、地球磁場の変動を説明しうることが明らかになった。来年度は、マルチ分光装置を用いた、複数の物性の同時測定を高圧高温条件下で行い、これまで、測定困難であった、液体の物性測定を開始する予定である。
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