2007 Fiscal Year Annual Research Report
下部マントル最下部に存在する地震波低速度層の起源の解明
Project/Area Number |
18684030
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
小野 重明 Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology, 地球内部変動研究センター, 研究員 (20313116)
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Keywords | コア / マントル / 地震波速度 / 低速度層 / 高温高圧 |
Research Abstract |
本研究では,地震学的観測から報告されている下部マントル最下部での地震波の低速度層に注目した研究を遂行している。その目的ため,マントル物質やコア物質の物性について,高温高圧条件でのその場測定をすることを目標としている。この問題を解明するためには,液体鉄とケイ酸塩鉱物の反応を無視できない。なぜならば,低速度層はコア・マントル境界に存在するからである。そこで本年度は,流体鉄とケイ酸塩マントル物質の反応物と考えられている珪化鉄について研究を行った。その結果,珪化鉄は,マントル最下部に相当する温度圧力では、B2型結晶構造をとることが明らかになった。そして,その結晶構造では,珪化鉄の電子状態は,低スピン状態であることが見積もられた。この鉱物から推定される地震波速度は,ケイ酸塩マントル物質より十分に小さく,マントル最下部の低速度層を説明することが可能であると考えられる。次に,炭化鉄についても,同様の研究を行った。炭化鉄は高圧条件でも構造相転移を起こさないことが確認された。一方,磁気相転移が起こることが判明し,下部マントルに相当する約50ギガパスカルで高スピン状態から,低スピン状態へ相転移することが判明した。この磁気相転移は,他の物性についても大きな影響を与えると予想されるので,来年度は,磁気相転移に伴う物性の変化を明らかにしたいと考えている。
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