2006 Fiscal Year Annual Research Report
熱拡散チェンバ氷晶計を用いた有機物粒子の雲過程における氷晶形成能の評価
Project/Area Number |
18684031
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
持田 陸宏 名古屋大学, 高等研究院, 特任助教授 (10333642)
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Keywords | 有機エアロゾル / 氷晶核 / 雲過程 / 降水過程 / 気候変動 |
Research Abstract |
本研究では、大気エアロゾル粒子あるいはそのモデル粒子の凍結特性をほぼ実時間で測定する熱拡散チェンバ氷晶計を開発および使用し、有機エアロゾル粒子が氷晶核として作用することで雲・降水過程におよぼす影響を評価することを目的としている。本年度は、開発する装置の中心部分である熱拡散チェンバの設計および製作を進めた。このチェンバは、温度制御された二重銅管、エアロゾル粒子の導入部、氷晶および残存エアロゾル粒子の導出部で構成される。銅管の表面を氷で被覆すると、熱および水分子の拡散速度の関係からチェンバ内が定常的な水蒸気過飽和度となり、そこで形成される氷晶数を計数することで、エアロゾル粒子が氷晶化する温度および水蒸気過飽和度を得ることができる。チェンバ内の温度および水蒸気過飽和度の信頼性は、凍結特性測定の正確さに強く影響する因子のひとつであり、本研究では熱流体解析ソフトウェアであるFLUENTを用いてこれらの設定値について検討を行った。まず、設計した熱拡散チェンバの内外壁の温度およびエアロゾル粒子を含む試料空気の流速についていくつかの値を設定し、チェンバ内の温度および水蒸気分圧の空間分布を得た。そして、チェンバに導入するエアロゾル粒子の流路を計算して粒子が経験する温度および水蒸気過飽和度を求め、その値の実験における有効性について評価した。 次年度以降の研究においては、石英フィルタ上に捕集されたエアロゾル試料を水抽出してアトマイザにより再粒子化し、その凍結特性を測定することを計画している。このため本年度は、実験に用いるエアロゾル試料の一部として大気エアロゾルのフィルタ捕集も行った。
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