2007 Fiscal Year Annual Research Report
熱拡散チェンバ氷晶計を用いた有機物粒子の雲過程における氷晶形成能の評価
Project/Area Number |
18684031
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
持田 陸宏 Nagoya University, 高等研究院, 特任准教授 (10333642)
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Keywords | 大気化学 / エアロゾル / 氷晶 / 気候変動 / 気象学 |
Research Abstract |
第一に、熱流体解析ソフトウェアを用いて、熱拡散チェンバの性能評価を行った。その結果、装置の温度設定の条件によっては、エアロゾルを導入するノズルの周辺に逆向きの空気の流れが生じ、エアロゾル粒子の軌跡に影響を与える場合があることが示唆された。検討の結果、ノズルの形状を変更して、ノズルと外壁の距離を小さくすることで、空気の逆流を抑えられることが示された。また、氷で被覆された二重管の間の空気の流速や水蒸気過飽和度の空間分布や、時間発展の様子を解析した。粒子が経験する水蒸気過飽和度の計算値は、先行研究により報告されている平行平板モデルによる推定値とよく一致することが示された。本研究による計算では、ノズルの影響を受けた二重管内の流れの発達も考慮されており、ノズル近傍の試料空気の速度や、水蒸気過飽和度の分布についても解析することができた。 第二に、熱拡散チェンバの実機の開発・性能評価を進めた。まず、上記の熱流体解析の結果を受け、形状を改良したエアロゾル導入用のノズル部分を新たに準備した。また、二重銅管に密着させたスパイラル銅管にフッ素系の冷媒を循環させ、熱電対・測温抵抗体を用いた温度測定により、チェンバの冷却能力を検討した。さらに、予め冷却した二重銅管にチェンバ下部より水を導入し、銅管の表面に氷を張る実験を行った。そして、氷を張った条件で熱拡散チェンバに室内空気を導入し、エアロゾル粒子を核とした氷晶形成の観察を試みる実験を開始した。
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