2006 Fiscal Year Annual Research Report
生物由来物質の地球化学的指標から読み取る生物大量絶滅期の地球環境変動
Project/Area Number |
18684032
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
丸岡 照幸 筑波大学, 大学院生命環境科学研究科, 講師 (80400646)
|
Keywords | 地球化学 / 環境変動 / 生物大量絶滅 / 同位体 / 質量分析計 / 安定同位体 / 酸性雨 |
Research Abstract |
1.連続フロー型質量分析計の導入とその調整 安定同位体比測定のために連続フロー型質量分析計を導入した。7月下旬に納入し、8月初旬から炭素同位体比測定用の調整を開始した。実験室温度の安定化、錫カプセルの脱炭素処理の確立などにより、30μg相当の炭素を0.1%以下の誤差で分析できるようになった。これらの結果をまとめ、11月に日本質量分析学会同位体比部会において発表を行った。12月からは硫黄同位体比分析の調整を開始し、現在も続けている。 8月には内モンゴルにおいて、同位体比標準試料として使うことを目的に、石炭、石膏を採取した。この試料を使った同位体比測定は次年度に予定している。 2.南アフリカペルム紀-三畳紀(P-T)境界試料の分析 本試料は河口域を起源とする堆積岩であり、Maruoka et al.(2003)では硫化物の濃縮層を見出した。この濃縮は硫酸酸性雨を反映していると考えられている。この試料の有機物の炭素同位体分析を進めた。塩酸-フッ酸の混酸を用いて珪酸塩を除去し、残った有機物の炭素同位体比を上記「1」の装置により分析した。P-T境界における岩層の変化により、上部で有機物濃度が低下していた。その変化と同時に同位体比の変動幅が上昇していることを見出すことができた。しかし、有機物濃度が低い場合には、途中の扱い方によって外部からの有機物混入の確率が高くなり、それが同位体比のばらつきを大きくしている可能性がある。試料量を増やした測定を次年度に行う予定である。 3.微量元素分析 ハンガリー共和国のP-T境界試料等を原子力研究所において原子炉内で中性子を照射し、多重ガンマ線分析によりイリジウム等の微量元素の分析を行った。このP-T境界に対応する試料においてイリジウム等の元素の異常濃縮は見出せなかった。これはこれまでの報告と矛盾しない。
|